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腸閉塞(イレウス)
株式会社ASSUME 代表取締役/査定医 牧野 安博
  「フラフープで遊び過ぎると腸捻転ねんてんになる――」そんな噂が昔、流れたのをご記憶でしょうか?そんな科学的根拠はないようですが、なんでも解説してくれるWikipediaの「フラフープ」の欄に記載されるほど話題になったものでした。先月来日し、コンサートを控えていたポール・マッカートニーは、もちろんフラフープをしたわけではないでしょうが、来日後、腸捻転になって入院・手術をしたとのことで、すべての日本公演がキャンセルされました。1枚2万円以上、高い席だと10万円もするコンサートチケットを苦労して入手した方、特に会社を休んで地方から出てきた方のショックは大きかったことでしょう。
  今回は腸捻転が一つの病型である「腸閉塞(イレウス)」について解説します。
■ 疾病概念・原因
  腸閉塞とは、腸管内容の肛門側への通過が障害された状態のことをいいます。腫瘍などで腸に外圧がかかったり、開腹術を受けたことで腸同士や腹膜と腸管が癒着し、その部分を中心に腸が折れ曲がったりじれたり(腸捻転)することが原因で起こり、「イレウス」とも言います。
  腸閉塞(以下、イレウス)は腸管内腔が物理的に閉塞されて起こる「機械的イレウス」と、腸管への血流や分布する神経の障害により腸管内容が停滞する「機能的イレウス」に分類されます。
  さらに機械的イレウスは、腸管への血行障害を伴わない単純性イレウス(閉塞性イレウス)と、血行障害を伴う複雑性イレウス(絞扼性こうやくせいイレウス)に分類されます。一方、機能的イレウスは、急性腹膜炎などで腸管の正常な蠕動ぜんどうが停止して起こる麻痺性イレウスと、中毒などで腸管痙攣けいれんが起こる痙攣性イレウスに分類されます。(下図参照)
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