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がん研究の急速な進歩について

株式会社ASSUME 代表取締役/査定医 牧野 安博

 

新年あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。

 

● がんの培養細胞を用いた研究が必須に

 

 前回の投稿で膀胱がんの話に少しふれましたが、近年がんの免疫についての研究が著しく進んでいます。これはそもそも、がん細胞を培養する科学技術が、過去に確立されたことにあります。細胞培養により永遠に生き続けるがん細胞株ができたのは、1951年のことです。これによりわれわれは、がん細胞の実験モデルを入手したと言えるでしょう。昨年ノーベル医学生理学賞を受賞した医師の本庶佑先生の研究も、この実験系がないと検証できなかったのではないでしょうか。がん細胞が培養細胞として用いられることで、医学におけるがん研究が急速に進歩しました。

 

 世界で初めて樹立されたヒトがん細胞株は、ヒーラ(HeLa)細胞と呼ばれています。これは1951年に米国のジョンズホプキンス大学病院で亡くなった31歳黒人女性の子宮頸癌由来の細胞です。細胞の名前は、彼女の名前のヘンリエッタ・ラックス(Henrietta Lacks)にちなんで付けられました。ヒーラ細胞はヒト組織から分離され培養維持された最初の異数体がん細胞つまり染色体の数が異なるがん細胞です。ポリオウイルス1型とアデノウィルス3型に対して感受性があります。ヒーラ細胞は極めて増殖性が高いため、同じ実験室で維持されている他の多くの細胞の汚染物質として見つかることもあります。ヒトパピローマウイルス18型(HPV18)の遺伝子の一部(L1、E6、E7を含む領域)が、ヒーラ細胞の染色体に組み込まれていることが分かっています。

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