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    ~財産目録のパソコン作成&遺言書保管制度~

No.3744 大きく変わる「自筆証書遺言」
~財産目録のパソコン作成&遺言書保管制度~

 遺言書を自分で作成する場合には、全てを自分で書かなければならず、遺言を残そうとする人の負担となっていました。しかし、今年の1月からは遺言書の一部についてパソコンでの作成が認められるようになり、負担が軽減されています。また、2020年7月からは、自筆証書遺言を保管してくれる制度も始まります。

 

● 財産目録にはパソコン作成や通帳のコピーも利用できる

 

 生前に自分の財産の残し方について考え方を示しておくものが遺言です。法律では複数の方式が認められており、その一つが「自筆証書遺言」です。これまでは遺言者が遺言書の全文、日付及び氏名を自分で書き、押印しなければならないと定められていました。パソコンで作成した頁があれば効力のある遺言として認められなかったのです。
 しかし、「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」が2018年に成立したことにより、2019年1月13日からは部分的にパソコン等で作成できるようになりました。
 新たに認められるようになったのは、「財産目録」の部分です。財産目録とは土地、建物や預貯金などの財産を一覧に記したものです。遺言を作成しても時間が経てば保有する財産の内容に変更が生じるため、作成し直す必要がありましたが、自書しなければならないために手間がかかっていました。
 この度の改正によって、自筆証書遺言の財産目録を遺言者本人がパソコンで作成することも、遺言者以外の人が作成することもできるようになりました。さらに、土地について登記事項証明書を財産目録として添付することや、預貯金については通帳の写しを添付することも認められますが、いずれの場合でも財産目録の各頁に署名押印する必要があります。

 

● 法務局での保管も2020年7月に開始

 

 また、2018年には「法務局における遺言書の保管等に関する法律(いわゆる遺言書保管法)」も成立しています。これは、高齢化が進む中で相続をめぐる紛争を防止するという観点から、法務局において自筆証書遺言での遺言書を保管する制度を新たに設けるものです。
 自筆証書遺言には一人で作成できる気軽さがある反面、遺族に発見されないリスクや、第一発見者にとって不利な内容であるために隠されてしまうリスクもあります。法務局で保管してもらうことによって、これらのリスクの回避が期待できます。
 遺言書保管法の施行期日は2020年7月10日なので、この日から法務局での遺言書保管の申請ができるようになります。
 遺言者が死亡した後、相続人等は全国にある遺言書保管所で遺言書が保管されているかどうか調べること(「遺言書保管事実証明書」の交付請求)、遺言書の写しの交付を請求すること(「遺言書情報証明書」の交付請求)ができます。また、遺言書を保管している遺言書保管所において遺言書を閲覧することもできます。
 なお、遺言書保管所に保管されている遺言書については、家庭裁判所の検認が不要となります。

 

2019.05.09

 

 

 

森田 和子(もりた・かずこ)

FPオフィス・モリタ 代表

 

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、DCA(確定拠出年金アドバイザー)
大学卒業後、コンピュータソフト会社、生命保険会社勤務を経て、1999年独立。保険や投資信託の販売をしない独立系のファイナンシャル・プランナー事務所としてコンサルティングを行っている。
お金の管理は「楽に、楽しく」、相談される方を「追い詰めない」のがモットー。情報サイト・新聞・雑誌への執筆多数。企業・学校・イベントで行うマネープランセミナー・講演も好評。

 

FPオフィス・モリタ http://okane-net.com/