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No.3749 電子メール等により労働条件の明示も可能に

● 従業員が希望した場合に限り可能

 

 労働基準法では、会社は従業員に対して労働条件を明示することが義務付けられている。その中でも契約期間、就業時間、賃金などの重要な労働条件については、これまでその明示方法は従業員に対する書面の交付に限られていた。
 しかし、労働基準法施行規則がこのほど改正され、4月から従業員が希望した場合に限り、FAXまたは電子メール等の送信による明示も可能となった。ただし、電子メール等については、労働者が電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限られているという要件があるので注意しなければならない。今後は従業員の希望を踏まえて柔軟に対応していくことも検討したい。

 

● LINEで労働条件を明示できる?

 

 今回、可能となった電子メール等とは、パソコンや携帯電話のEメールの他、Yahoo!メールやGmail等のWebメールサービス、そしてLINEやメッセンジャー等のSNSメッセージ機能等も含まれる。電子メール等での明示は印刷や保存がしやすいよう、添付ファイルで送ることが推奨されている。
 紛争を未然に防止する観点から、労働者が本当に電子メール等による明示を希望したか、個別にかつ明示的に確認するよう指導している。また、本当に到達したかどうか労働者に確認すること、そしてなるべく出力して保存するよう伝えることを怠らないようにもしなければならない。重要なポイントは、特定の者のみが受信できる電気通信によって、送信しなければならないということ。第三者がアクセスできるWebサイトへのアップロードなどは認められないので理解しておきたい。
 当たり前ではあるが、従業員に希望の確認もとらずに、一方的に労働条件を電子メール等で送りっ放しにしてはならない。LINEなどによる明示も可能になったわけだが、SNS本文に直接記載すると労働条件が細切れに明示されることになり、印刷する際に途切れてしまうので望ましくないといえる。

 

● 有期雇用社員は希望者が多いかも

 

 労働条件の明示については、有期雇用の非正規社員が増加したことで、契約書を更新の都度締結することになり、その業務量が増えているわけだが、じつは締結業務の重要性はますます高まっている。有期雇用労働者の場合、いつでも見ることができるようにデータで保存しておきたいという方も結構多いと思うので、態勢を整えたら、電子メール等での労働条件の明示について希望するかどうか確認してみるのもよいだろう。
 さて、労働条件の中でも書面の交付により明示すべき事項については労働基準法施行規則に定められており、以下のとおりとなっている。

労働契約の期間

有期労働契約の更新の基準

就業場所・従事すべき業務

始業・終業時刻、所定労働時間超えの労働の有無、休憩時間、休日、休暇、2交代制に関する事項

賃金の決定・計算・支払方法、賃金の締切・支払時期、昇給に関する事項

退職(解雇を含む)に関する事項

など

 総務人事担当者は雇止めなどのトラブルを避けるためにも法律を遵守し、正しい労働契約の実務を行うよう心掛けたいところである。

 

 

2019.05.20

 

 

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庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)

株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表

社会保険労務士 人事コンサルタント

 

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

 

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/