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No.3783 複数の会社に勤務したら社会保険はどうなるの?

● 複数の会社に勤務する働き方

 

 働き方改革は、労働時間や休暇関係の法律の改正だけでなく、労働者の働き方をも多様化させている。例えば2つの会社に勤務する人も少しずつ増えてきており、なかには3つ以上の会社に勤務している人も稀にいる。
 複数の会社に勤務しているケースといえば、これまでは子会社やグループ関連会社など複数社の役員をしていることが多かったが、最近は一般従業員でも2社以上に勤務するケースも増えてきており、その際の社会保険の手続きに関する相談も増えている。
 また、サラリーマンをしながら個人で起業し会社を設立して活動している人もいる。最近では複数の会社に勤務することや副業を奨励している会社もあり、働く側の意識も大きく変わってきている。今回は複数の会社(=事業所)に勤務したときの社会保険の加入手続きについてその概要をまとめることとする。

 

● 役員の取り扱いには注意が必要

 

 複数の事業所に勤務している場合、各々の働き方が社会保険の加入要件を満たしているならば、各々の会社で社会保険の加入が必要となる。
 パート・アルバイトの場合、社会保険の加入要件は、1週間の所定労働時間および1カ月間の所定労働日数が常時雇用者の4分の3以上であることとなっている。なお、法改正により2016年10月からは、従業員501人以上の会社で働くパートも、週20時間以上勤務しその他の要件も満たしている場合、社会保険に加入しなければならなくなった。その改正の影響もあり、社会保険の「二以上事業所勤務」に該当する人が少し増えた。
 ただし、役員の場合は考え方が違うので注意が必要だ。役員は労働働基準法上の一般労働者には該当しないため、勤務時間・日数などに関係なく、原則として社会保険に加入しなければならない。なお、非常勤役員や常勤役員でも役員報酬がまったく支払われていない場合は対象外となる。代表取締役には非常勤という考え方はないので、役員報酬の支払いがあれば加入しなければならない。

 

● 複数社勤務の場合、保険料は按分計算

 

 実際に二以上事業所勤務に該当することになったときには、複数の会社から給与をもらう被保険者はメインとなる会社を選択して、「健康保険・厚生年金保険 所属選択・二以上事業所勤務届」に各々の会社からもらう給与額を記載し、メインとなる会社を管轄する年金事務所に同書類を提出することになる。
 提出期限は、2社以上の会社に所属することになった日の翌日から10日以内だ。その際は、事前に各々の会社に「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」が提出されていることが前提となるので、この点は確認しておきたい。
 なお、社会保険料についての考え方は、各々の会社の報酬月額を合算した金額で標準報酬月額を決定し、それに保険料率をかけて複数社合計の保険料を計算する。算出した保険料を各々の会社の報酬割合で按分した金額が、各々の会社における社会保険料となる。このように社会保険料の算出方法は複雑になるので注意したい。
 社内に該当者がいる場合、会社は実務に入る前に年金事務所に手続きについて相談すべきである。このようなケースはイレギュラーな手続きではあるが、今後は増えてくることが予想されるため、二以上事業所勤務に関する社会保険の基本的な考え方をよく理解しておく必要がある。

 

 

2019.07.22

 

 

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庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)

株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表

社会保険労務士 人事コンサルタント

 

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

 

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/