No.3807 自治体のリバースモーゲージ
老後資金2,000万円問題もあり、多くの方が貯蓄や投資に関心を寄せています。もしも老後資金が不足する場合に検討できる方法の一つが、自宅を活用して老後資金を作るリバースモーゲージです。民間の金融機関だけでなく、自治体にも同様の制度があります。
● 融資を返済せずに自宅に住み続けられる
リバースモーゲージとは、自宅を担保にして融資を受け、死亡後に自宅の売却代金で一括返済する制度です。融資残高に応じて利子のみを支払いながら、亡くなるまで自宅に住み続けることができます。夫が亡くなった後、妻が亡くなるまで住み続けられる場合もあります。銀行や信託銀行、信用金庫などの金融機関が扱っています。
自宅の評価額、自宅のある地域、利用者の年齢など、設定される利用条件は金融機関ごとに異なります。
● 自治体のリバースモーゲージ「不動産担保型生活資金」
公的な制度にも同様のものがあります。自治体のリバースモーゲージともいえる「不動産担保型生活資金」です。
これは、低所得の方向けの「生活福祉資金」の一つで、住民税非課税かそれに準ずる所得で、単身または夫婦でその親以外の同居人がいない65歳以上の世帯が対象になります。
自宅の条件は、賃借権等の利用権や抵当権等の担保権が設定されておらず、申込者単独または夫婦で所有して住んでいる一戸建て自宅で、マンション等の集合住宅は対象外です。土地の評価額は概ね1,500万円以上ですが、1,000万円程度でも対象になる場合があるとされています。比較的に評価額が低い土地でも対象になるといえるでしょう。
利用が認められると、毎月一定額(月30万円以内)の貸付を受け、貸付残高に応じた利子を支払います。貸付元利金が貸付限度額(担保となる土地評価額の約70%)になるまで利用できます。
貸付契約の際には、推定相続人の同意を得るよう努めなければならないとされており、推定相続人の中から連帯保証人が1名必要です。
また、自治体が要保護世帯と認めた方については、評価額が概ね500万円から対象になる「要保護世帯向け不動産担保型生活資金」を利用できる場合があり、こちらについては、一戸建てだけではなく、集合住宅も対象になります。
高齢になると現役時代のようにローンを組むのが難しくなるのが一般的です。自宅を次の世代に相続させる必要がないのであれば、リバースモーゲージや不動産担保型生活資金も老後の資金不足を補う一つの方法として検討できます。自宅を活用した資金作りの方法があることを覚えておくとよいでしょう。
2019.09.09
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森田 和子(もりた・かずこ) FPオフィス・モリタ 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、DCA(確定拠出年金アドバイザー)
FPオフィス・モリタ http://okane-net.com/
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