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No.3863 退職金の有無は離職率に関係する?

● 82.9%の企業が退職金制度を導入

 

 独立行政法人労働政策研究・研修機構は、民間信用調査機関所有の企業情報データベースから産業・規模別に従業員規模10人以上の企業1万社と、そこに勤務する従業員約4万人を対象に、退職金制度の状況や財形貯蓄制度の活用状況について調査を実施した。
 調査結果によると、退職金制度を導入していると回答した割合は82.9%であった。特に従業員の定着が悪い中小企業にとっては、このようなデータを参考にし、自社の状況を客観的に見て、退職金制度の導入を検討してみるのもよいだろう。
 従業員の規模別に見た場合、規模が大きいほど退職金制度の導入は進んでいる(300人以上で91.1%、100人以上300人未満で87.6%、30人以上100人未満で86.8%)。注目すべきは、従業員30人未満の企業でも79.0%は導入している点である。調査対象によってこの数値は変わってくることもあるが、小さな会社でもその多くは何かしらの方法で退職金制度を導入しているという事実は理解しておきたい。

 

● 離職率にやや影響あり

 

 正規雇用従業員の離職率と退職金制度導入率の関係性を調査したところ、離職率が20%以上の企業群では退職金制度の導入率が最も低く67.5%しかなかった。一方、離職率が10%未満の企業群では導入率が最も高く86.4%であった。もちろんこのデータだけでは判断できないが、離職率と退職金制度の有無についての関連性は無視できない。退職金制度の導入は離職率改善の特効薬とは言い切れないが、長期的に見ると少しは影響があるのではないだろうか。
 当初は退職金のことなど考えないで入社した従業員も多いかもしれないが、勤務して3年くらい経過すると、「退職金もない会社では将来が不安かも…」と思い直して転職してしまうこともあり得るだろう。離職時に本人との面談で退職理由について聞いてみると、そのような声を聞くことがあったという経営者も多くいるので、やはり重要な項目の一つなのだと思う。

 

● 従業員の視点で考える

 

 退職金制度の導入を検討する際は、自社がどのような状況にあるのかまずは整理して、財務状況、給与水準、従業員の属性、同業他社との比較、そして離職率なども含めて考えてみるといいだろう。時には先入観を一切捨てて、自社の業種や従業員数に関係なく、退職金制度があることのメリットを考え、思い切って改革していくことも必要である。中小企業の経営者が忘れがちな「従業員の視点になって考えてみる」ということを疎かにしないで、一生懸命働いてくれる従業員とその家族の将来のことまで考えてあげることができれば理想的な経営ではないだろうか。

 

 

2020.01.06

 

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庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)

株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表

社会保険労務士 人事コンサルタント

 

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

 

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