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No.3870 居住用賃貸建物の消費税還付スキームにメス

● 消費税の仕入税額控除制度等の適正化

 

 令和2年度税制改正において、居住用賃貸建物の消費税還付スキームにメスが入る。それは、居住用賃貸建物の取得等に係る消費税の仕入税額控除制度等の適正化だ。
 そもそも、住宅として貸付けを行う建物(「居住用賃貸建物」)を取得しても、そこから得る家賃収入は非課税売上であるため、その建物の取得に係る消費税については仕入税額控除の適用を受けることができないことになる。
 しかし、本業とは関係のない金地金など投資商品の売買(課税売上)を繰り返し行い、意図的に課税売上割合を引き上げて、その建物の取得に係る消費税の全部又は一部について仕入税額控除の適用を受けることによって、不当に消費税の還付を受けるケースが見受けられた。そこで、これを是正するため、今回の改正において、居住用賃貸建物の取得等に係る消費税の仕入税額控除制度が適正化されることになった。

 

● 居住用賃貸建物の課税仕入れは仕入税額控除の適用を認めない

 

 改正の内容は、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物であって高額特定資産に該当するもの(一取引単位につき支払対価の額が税抜き1000万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産)の課税仕入れについては、仕入税額控除の適用を認めないというもの。
 ただし、居住用賃貸建物のうち、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな部分については仕入税額控除の対象とすることができる。

 

● 店舗用の貸付や売却の場合は3年間の実績に応じた仕入税額控除

 

 また、仕入税額控除の適用が認められなかった居住用賃貸建物について、その仕入れの日から同日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間の末日までの間に住宅の貸付け以外の貸付けや譲渡をした場合には、それまでの居住用賃貸建物の貸付け及び譲渡の対価の額を基礎として計算した額を、3年を経過する日の属する課税期間又は譲渡をした日の属する課税期間の仕入税額控除に加算して調整することができる。
 つまり、店舗として貸付けをしたり、売却などした場合には、3年間の実績に応じた仕入税額控除が受けられるわけだ。
 適用時期については、令和2年10月1日以後に仕入れを行った居住用賃貸建物からになる。ただし、同日以後の仕入れであっても、令和2年3月31日までに締結した契約に基づき同年10月1日以後に居住用賃貸建物の仕入れを行った場合には、適用しないこととされている。

 

2020.01.20

 

 

浅野 宗玄(あさの・むねはる)

 

株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.php