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No.3878 令和2年から適用されている給与所得控除等の改正に注意!!

● 基礎控除額の引上げと高所得者への所得制限

 

 基礎控除や給与所得控除などの改正が令和2年から適用されている。平成30年度の税制改正において、近年の働き方の多様化を踏まえ、働き方改革を後押しする観点から、基礎控除や給与所得控除などの見直しが行われた。まず、基礎控除が見直されて、控除額が38万円から48万円に引き上げられたが、合計所得金額が2400万円を超えるような高所得者については控除額が逓減する。
 具体的には、その合計所得金額が2400万円超2450万円以下は32万円、2450万円超2500万円以下は16万円となり、2500万円超は0円と、控除額が段階的に引き下げられる。基礎控除の改正によって、所得税が減税となる場合と増税となる場合があることになる。ただし、基礎控除額が引き上げられた一方で、給与所得控除などが引き下げられているので、所得税の減税となるのは自営業者などに限られる。

 

● 給与収入850万円超は所得税が増税

 

 給与所得控除は、給与所得者が給与収入を得るための必要な経費を概算で控除する制度で、給与収入にあわせて段階的に設定されているが、今回の改正により給与収入が850万円以下の場合の給与所得控除額が一律10万円引き下げられるとともに、給与所得控除の上限額が適用される給与収入が1000万円超から850万円超に、給与所得控除の上限額が220万円から195万円にそれぞれ引き下げられた。
 基礎控除額が10万円引き上げられた一方、給与所得控除額が10万円以上引き下げられるため、給与収入が850万円を超えると所得税が増税になってしまう。

 

● 所得金額調整控除の創設

 

 ただし、給与収入が850万円を超えていても、子育てや介護が必要な世帯の負担増などへの配慮として、所得金額調整控除が創設された。給与収入が850万円を超える者が、23歳未満の扶養親族を有する場合又は本人、同一生計配偶者若しくは扶養親族が特別障害者に該当する場合だ。
 このケースでは、所得金額調整控除として給与収入(1000万円を上限)から850万円を控除した金額の10%相当額を控除することができる。例えば、給与収入が1000万円の場合、給与所得控除額が220万円から195万円と15万円引き下げられるが、所得金額調整控除として1000万円から850万円を控除した金額150万円の10%相当額の15万円を控除することができるため、子育てや介護が必要な世帯の所得税の負担は変わらない。
 つまり、子育てや介護が必要な人の所得税の負担は変わらないのに対し、それ以外の人は所得税が増税になってしまうわけだ。
 また、給与所得控除額などの引下げに伴い、合計所得金額が10万円増加する影響から、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除などの所得控除を受けるための基準となる合計所得金額の要件がそれぞれ10万円ずつ引き上げられているので、注意が必要となる。

 

2020.02.03

 

 

浅野 宗玄(あさの・むねはる)

 

株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト
1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.php