1. FPS-Club HOME > 
  2. 今週のトピックス > 
  3. No.3230 異議申立て・訴訟等の納税者救済・勝訴割合は8.2%

No.3230 異議申立て・訴訟等の納税者救済・勝訴割合は8.2%

● 異議申立てでの認容割合は0.9ポイント減の8.4%

 

 納税者が国税当局の処分に不満がある場合は、税務署等に対する異議申立てや国税不服審判所に対する審査請求という行政上の救済制度と、さらには訴訟を起こして裁判所に処分の是正を求める司法上の制度がある。国税庁・国税不服審判所が公表した異議申立てや審査請求、訴訟の概要によると、今年3月までの1年間(平成27年度)の不服申立て・税務訴訟を通しての納税者救済・勝訴割合は8.2%となったことが分かった。
 異議申立ての発生件数は、消費税(41.5%増の1,155件)を始めほとんどの税目が増加したことから、全体では前年度から15.8%増の3,191件となった。処理件数は、「取下げ等」405件、「却下」375件、「棄却」2,150件、「一部取消」212件、「全部取消」58件の合計3,200件(前年度比16.6%増)。納税者の主張が一部でも認められたのは270件となり、処理件数全体に占める割合(認容割合)は前年度を0.9ポイント下回る8.4%だった。

 

● 訴訟の発生件数231件は16年度の半分以下

 

 また、税務署の処分(異議決定)を不服とする国税不服審判所への審査請求の発生件数は、法人税等(6.4%増の334件)などが増加したことから、過去最低だった前年度と比べ3.3%と微増の2,098件となった。処理件数は、「取下げ」223件、「却下」289件、「棄却」1,615件、「一部取消」147件、「全部取消」37件の合計2,311件(前年度比22.4%減)。納税者の主張が何らかの形で認められた認容割合は同横ばいの8.0%となった。
 一方、裁判所への訴訟となった発生件数は、所得税(9.0%増の85件)などは増えたものの、法人税(22.4%減の38件)や徴収関係(33.9%減の39件)が減少したことから、前年度を2.5%下回る231件と、平成16年度(552件)の半分以下となっている。終結件数は、「取下げ等」16件、「却下」16件、「棄却」208件、「国の一部敗訴」3件、「同全部敗訴」19件の合計262件(前年度比6.4%減)。国側の敗訴(納税者勝訴)割合は同1.6ポイント増の8.4%となっている。
 このような納税者救済・勝訴割合は、あくまでも結果論だが、全体でみると、平成27年度中に異議申立て・審査請求・訴訟を通して納税者の主張が一部でも認められたのは、処理・訴訟の終結件数の合計5,773件(前年度6,005件)のうち476件(同514件)で、その割合は8.2%(同8.6%)と、訴訟の納税者勝訴割合は増加したが、異議申立ての認容割合が減少したことから、前年度に比べて0.4ポイント減で推移している。

 

【参考】

国税庁「平成27年度における異議申立ての概要」(平成28年6月)

「平成27年度における審査請求の概要」(平成28年6月)

「平成27年度における訴訟の概要」(平成28年6月)

 

2016.07.04

 

 

浅野 宗玄(あさの・むねはる)
株式会社タックス・コム代表取締役
税金ジャーナリスト

1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年に株式会社タックス・コムを設立。同社代表、

ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に『住基ネットとプライバシー問題』(中央経済社)など。
http://www.taxcom.co.jp/
○タックス・コム企画・編集の新刊書籍『生命保険法人契約を考える』
http://www.taxcom.co.jp/seimeihoujin/index.html