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No.3685 勤務の後の休息時間確保は、事業主の努力義務

● 過重労働の防止に不可欠

 

 「勤務間インターバル」という言葉を耳にした方も多いのではないだろうか。これは、勤務終了後に一定時間以上の「休息時間」を設けることで、従業員の生活時間や睡眠時間を確保することである。
 2018年6月29日に成立した「働き方改革関連法」に基づき「労働時間等設定改善法」が改正され、前日の終業時刻から翌日の始業時刻の間に一定時間の休息を確保することが事業主の努力義務として規定された。施行は2019年4月1日からである。
 勤務間インターバルは、法律上は努力義務であるが、これまで以上に関心が高まっていることは確かであり、基本的な事項は押さえておきたい。

 

● 会社にもメリットはある

 

 業種によっては超過勤務がないので勤務間インターバルは必要ないという会社もあり、必要性を感じていないという声もある。実際に導入している会社の割合は、厚生労働省の最新の調査では1.8%(平成30年就労条件総合調査)と少ないが、今回の法律の改正によりニュースでも取り上げられる機会が増えれば認知度も高まり、徐々に意識も変わってくるものと思われる。
 実際にEU(ヨーロッパ連合)加盟国では、1993年に勤務間インターバルが制定され、

1日当たりの最低休息時間は、連続した11時間

1週当たりの最低休息時間は、連続した24時間(休暇1日分)に、1日当たりの最低休息時間を加えた、連続した35時間(客観的に正当性がある場合は24時間まで短縮可能)

就労中の休憩は、労働時間が6時間を超える場合、労使合意により設ける(合意できない場合は法令に基づく)

などの規定を設けている((独行)労働政策研究・研修機構編集・発行『EUの雇用・社会政策』を参照)。

 現在、わが国では法律上、休息時間についての規定はないが、厚生労働省の有識者検討会は、休息時間を「8~12時間」と例示する報告書をまとめたばかりだ。会社によっては「9時間+通勤時間」というちょっと変わったルールで運用しているところもあるが、厚生労働省がまとめた『勤務間インターバル制度導入事例集』などを参考にしてもいいだろう。
 会社にとっては、勤務間インターバルを導入することで業務の効率化が期待でき、長期的には生産性向上につながることも多く、魅力的な職場づくりという面では採用活動にプラスに働くのではないか。

 

● ワーク・ライフ・バランスの実現を目指して

 

 「勤務間インターバル」を導入したら、勤務時間は具体的にどうなるのだろうか。一定の休息時間を確保するとなると、下図のように始業時刻を繰り下げる働き方が考えられる。

 

 

 この他、ある時刻以降の残業を禁止し、次の始業時刻以前の勤務を認めないこととするなどにより「休息時間」を確保する方法もある。いずれにしても労使で話し合ったうえで現状の問題点を分析し、企業側のメリットも考慮したうえで、従業員の健康確保、ワーク・ライフ・バランスを実現するために勤務間インターバル制度を導入する会社が増えていくことを願う。

 

 

2019.01.07

 

 

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庄司 英尚(しょうじ・ひでたか)

株式会社アイウェーブ代表取締役、アイウェーブ社労士事務所 代表

社会保険労務士 人事コンサルタント

 

福島県出身。立命館大学を卒業後、大手オフィス家具メーカーにて営業職に従事。その後、都内の社会保険労務士事務所にて実務経験を積み、2001年に庄司社会保険労務士事務所(現・アイウェーブ社労士事務所)を開業。その後コンサルティング業務の拡大に伴い、2006年に株式会社アイウェーブを設立。企業の業績アップと現場主義をモットーとして、中小・中堅企業を対象に人事労務アドバイザリー業務、就業規則の作成、人事制度コンサルティング、社会保険の手続き及び給与計算業務を行っている。最近は、ワーク・ライフ・バランスの導入に注力し、残業時間の削減や両立支援制度の構築にも積極的に取り組んでいる。

 

公式サイト http://www.iwave-inc.jp/
社長ブログ http://iwave.blog73.fc2.com/