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No.3702 妊婦加算を考える

 平成30年の診療報酬改定時に創設され、平成31年1月に凍結された妊婦加算。十分な周知もないまま始まり、結果的に時代に逆行した形となってしまいました。妊婦をめぐる医療の問題も併せて、その経緯を考えてみたいと思います。

 

<妊婦加算創設の経緯>

 

 妊婦加算は、『妊娠の継続や胎児に配慮した適切な診療を評価する』観点から新設されました。妊婦の外来診療は、胎児への影響に注意した薬の選択、合併症や診断が困難な疾患を念頭に置いた診療が必要となることから、消極的な医療機関が存在、結果的に産科医の負担が大きくなっています。
 そのため、日本産婦人科医会・日本産科婦人科学会が要望し、妊婦に対して通常より丁寧な診察をした医療機関に、その評価として創設されたものです。ちなみに妊娠に係る診療はこの加算の対象外です。

 

<創設後の状況>

 

 十分な説明がないまま始まった妊婦加算は、妊婦というだけでいつの間にか診療報酬明細書に加算されていました。母子手帳による確認は不要で、どの診療科でも、妊娠に直接関係のない傷病でも加算可能とされていたため『コンタクトの処方で加算された』『会計時に妊婦とわかったら加算された』と、SNSやマスコミで頻繁に取り上げられるようになりました。
 その後、与党より、厚生労働省に対し「時間をかけずに(見直しに向けて)知恵を出すように」との要望が出され、1月1日をもって凍結となりました。

 

<問題点と今後の課題>

 

 創設前に十分な議論がなされず、その趣旨・内容が国民に十分理解されなかったこと、これが誤解や不安を与えた大きな原因です。妊婦への診療に繊細な配慮が必要なことは事実ですが、その負担を妊婦本人に求めるのか、少子化対策の逆行ではないか、妊婦以外でも、他薬との併用、アレルギーの有無などへの配慮はどうなのかなどの意見もあります。
 一方、産科医の減少や、医師が高リスクな妊婦への医療を避けたがるなど、医療機関側が抱える問題もあります。今回、妊婦加算はいったん凍結となりましたが、今後さらに議論がなされ、見直されることと思われます。

 

  1. 【参照】<参考>妊婦加算の概要(厚生労働省)平成30年12月19日

 

2019.02.07

 

 

沖田 眞紀(おきた・まき)

 

特定社会保険労務士
社労士事務所コンフィデンス

 

千葉県出身。大手電機メーカーをはじめ、介護施設、建設関連会社等様々な業種で、人事労務を担当。長年の実務経験を活かし、現在は人事労務相談・助成金手続・就業規則作成などを中心に社会保険業務および各種相談業務を行っている。