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No.3718 破産原因の第1位は「生活苦や低所得」

 日本弁護士連合会と消費者問題対策委員会では、破産事件や個人再生事件の実態を調査するために、3年に1回報告書を発表しています。その最新版である「2017年破産事件及び個人再生事件記録調査」をご紹介します。

 

● 破産債務者が多重債務に至った理由

 

 まずは破産債務者が多重債務に至った理由を確認してみましょう。

 

順位 負債原因(人数比)
1位 生活苦・低所得(61.47%)
2位 病気・医療費(22.70%)
3位 事業資金(17.37%)
4位 失業・転職(16.32%)
5位 保証以外の負債の返済(15.11%)
6位 保証債務(14.54%)
7位 生活用品の購入(12.28%)
8位 その他(12.04%)
9位 住宅購入(10.26%)
10位 給料の減少(9.61%)

※「破産理由」のデータを筆者が加工

 

 1位は「生活苦・低所得(61.47%)」で、割合で比較すると、2位の「病気・医療費(22.70%)」を大きく引き離しダントツの1位になっています。3位は「事業資金(17.37%)」、4位は「失業・転職(16.32%)」、5位は「保証以外の負債の返済(15.11%)」と続いています。
 皆さんはもうお気づきかもしれませんが、一般的に破産の原因としてイメージされがちな「遊興費」や「ギャンブル」による破産は10位以内には入っていないのです。実はそれらは上記表のランキング外である、11位「浪費・遊興費(9.29%)」と14位「ギャンブル(4.93%)」にやっと出てきています。
 つまり、破産者の多くは、一般的に破産からイメージされている人ではなく、実際には生活資金や医療費などの「生きていくために必要なお金」のための借金で破産している人なのです。

 

● 高齢者の破産者は引き続き高水準

 

 次に破産債務者の年齢を、時系列で確認したいと思います。

 

 

 近年減少傾向にあった20歳代が、2014年の調査より増加に転じています(6.37%→7.35%)。ただし20歳代における2000年調査からの推移を確認する限り、全体としては減少傾向にあると言えます(12%→7.35%)。同様に、30歳代についても減少傾向にあります(25%→19.55%)。
 一方、50歳代については2014年調査より上昇しています(21.05%→22.78%)。また、60歳代や70歳代については、2014年調査より減少していているものの(60歳代:18.71%→16.40、70歳代:8.63%→7.51%)、過去の調査と比較すると高い水準にあります。全体を通して見る限り、高齢者の破産者は依然として多い傾向にあると言えるでしょう。

 

● 破産債務者の多くは「給与生活者」

 

 破産債務者の職業について、時系列で確認してみましょう。

 

 

 特筆すべきは、破産債務者の多くが、「給与生活者(正社員:30.21%、正社員以外:24.07%)」だということでしょう。一般的に多いと思われがちな生活保護受給者(11.71%)や自営業者(3.39%)の割合のはるかに上を行く数値です。
 また2014年の調査と比較すると、「給与生活者(正社員)」は増加(27.34%→30.21%)しています。一方、「給与生活者(正社員以外)」は2014年調査より減少しているようですが(26.69%→24.07%)、男女別の内訳を確認すると、男性が18.07%に対し、女性の割合が非常に高い(31.96%)数字であることが気になります。

 

 今回ご紹介したデータでは、破産債務者の多くは生活や医療費などの借り入れによって破産をしている、全体的には50歳代以降の破産者が増えている、さらに、職業については突出して給与所得者(正社員)が多いこと分かりました。破産者は、特別な人があるわけではなく、誰でもなる可能性があることを認識しておく必要があります。

 

2019.03.11

 

 

 

小澤 美奈子(おざわ・みなこ)

K&Bプランニング代表 ファイナンシャルプランナー(AFP)/ライター
 
法政大学卒業後、損害保険会社にて、人材教育部門で社員教育・研修講師など約12年間勤務の後、外資系損害保険会社で営業職に就く。ファイナンシャルプランナー取得後は、独立系FP事務所、住宅メーカーを経て独立。
Webや書籍などで記事執筆、セミナー講師、個人向けコンサルティングを行うほか、フォトライターとしても活躍。趣味はカメラ。
 
ホームページ http://kandbplanning.org/