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    ~入院の在院日数・受療率さらに減少~

No.3726 平成29(2017)年患者調査が公表される
~入院の在院日数・受療率さらに減少~

● 在院日数は平成に入って約45日短縮

 

 2019年3月1日、厚生労働省より2017年の患者調査の結果が公表された。同調査は病院、診療所を利用する患者について、3年に1回、その動向をさまざまな項目で調査したものである。特に近年の推移が著しい項目として、ここでは入院にかかる在院日数と入院・外来の受療率(人口10万人に対する医療機関の利用者数)について取り上げたい。
 まず平均在院日数だが、病院・診療所を合わせた総数を見ると、今調査で29.3日となっている。前回(2014年)調査から2.6日の短縮となる。長期トレンドで見た場合、1990年の44.9日をピークとし右肩下がりが続いている。このピークの翌年に老人保健法の改正によって老人訪問看護制度が創設された。1989年には「高齢者保健福祉推進10か年戦略(ゴールドプラン)」によって在宅福祉事業に数値目標が導入され、これらを併せ在宅福祉・療養の土台が築かれたことが、在院日数短縮のトレンドの始まりといえる。
 こうした老人保健にかかる改革によって、在院日数が特に短縮されたのが65歳以上の患者だ。この年齢層に限るなら、1990年に79.3日だったのが今調査では37.6日、実に41.7日短縮されている。ちなみに、2000年には介護保険制度が創設されている。この介護保険の総費用がわずか10年足らずで倍増したのも、高齢者の在院日数が急速に短縮する中で「受け皿」としての機能が集中したことが要因の一つであることは容易に想像できる。

 

● 高齢者に限れば受療率も長期減少トレンド

 

 さて、もう一つ注目したいのが受療率だ。在院日数でピークとなっていた1990年には、入院で1,214人、外来で5,554人。これが今調査(2017年)では、入院で1,036人、外来で5,675人となっている。前者では178人と減少数は目立って多いとは言えず、後者では逆に121人増えている。たとえば、在院日数が大幅に減少した分、外来受療率が増えるのは自然の成り行きとも言えるだろう。
 だが、やはり65歳以上に絞ってみると、状況は変わってくる。やはり1990年との比較でみれば、入院で1,918人(約41%)の減少、外来でも3,199人(約23%)の減少となっている。もちろん、他世代に比べて受療者の分母は大きくなるが、高齢者に限れば医療機関を利用する患者は、在院日数と同じく90年代からの長期的な減少トレンドをたどっていることがわかる。(全体の外来受療率を押し上げているのは、むしろ0~14歳の年齢層だ)
 

● 高齢層の脱・医療機関が進む中での受け皿

 

 さて、こうした動向から何がわかるかといえば、長期にわたる医療財政の立て直しが、高齢者医療のあり方をターゲットとして展開されてきたことだ。わが国で急伸する高齢化率、2025年に団塊世代が全員75歳以上を迎えるといった状況を鑑みれば当然だろう。問題は「脱・医療機関」を進めても、その先に別の受け皿が必要になるという点だ。そこに介護保険事業を位置づけると言っても、介護サービスが医療ニーズの受け皿を「代替え」するのに限界が生じるのは明らかだ。
 結局、こうした課題に対処するには、介護保険事業に医療がかかわる範囲を増やしていくより他にない。2018年度から誕生した介護保険による介護医療院しかり、医療リハビリから介護リハビリへの移行しかり。この一種の「財源の付け替え」的な施策がどこまで広がっていくのか、そこに限界はないのか。国の社会保障施策を点検するうえで、一つの目安としてとらえていくことが必要だろう。

 

2019.03.28

 

 

田中 元(たなか・はじめ)

 介護福祉ジャーナリスト。群馬県出身。立教大学法学部卒業後、出版社勤務を経てフリーに。高齢者介護分野を中心に、社会保障制度のあり方を現場視点で検証するというスタンスで取材、執筆活動を展開している。
 主な著書に、『2018年・改正介護保険のポイントがひと目でわかる本』『認知症のお客様対応マニュアル』(以上、ぱる出版)、『現場で使えるケアマネ新実務便利帳』(翔泳社)など多数。

 

 

 

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【ポイント7】
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【ポイント8】
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【ポイント9】
見守りの仕方・立ち位置が事故・トラブル防止の基礎になる

【ポイント10】
管理者が服薬や医療処置を理解しているか

 
目 次

プロローグ
【情報収集の手段を知る】知りたい情報を素早く手に入れる方法

第1章
イラストでわかる介護サービスを選ぶポイント【選び方の基本10カ条】

第2章
わが家を中心として受けるサービス

第3章
住み替えや施設入所で受けるサービス

第4章
介護保険の給付外で注目したいサービス

[巻末ガイド]チャートでわかる・介護サービス早見表