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    ~診療報酬改定検証から浮かんできたこと~

No.3742 大病院受診時の定額負担。患者の反応は?
~診療報酬改定検証から浮かんできたこと~

● 2018年度改定で拡大された定額負担の範囲

 

 2020年度の診療報酬改定に向け、中央社会保険医療協議会(中医協)での議論が本格化している。その検討事項として、「患者・国民に身近な医療のあり方」というテーマが掲げられている。具体的には、①患者にとって必要な情報提供や相談支援のあり方(診療計画書、明細書等)、②かかりつけ医機能とかかりつけ薬剤師・薬局機能の連携、③紹介状なしの大病院受診時の定額負担などが示されている。いずれも患者に直接かかわるテーマだが、特に③への関心が高いのではないだろうか。
 この「紹介状なしの大病院受診時の定額負担」は、地域で拠点となる大病院の機能強化を図るべく、その外来機能の「専門化」を図るというビジョンから始まった(2013年の社会保障制度改革国民会議報告書より)。これを受け、2016年度の診療報酬改定で、特定機能病院および一般病床500床以上の地域医療支援病院責務として、「患者が紹介状なしで受診する場合に、初診で最低5,000円を徴収する(緊急その他やむを得ない事情がある場合を除く)」ことを定めた。その後、2018年度の診療報酬改定では、定額徴収の責務について対象病院が拡大された。具体的には、地域医療支援病院について「一般病床500床以上」が「許可病床400床以上」と見直されている。
 次期改定に向けて、なおもテーマとして掲げられているということは、対象病院のさらなる拡大や徴収額の引き上げなども議論として上がる可能性があるということだ。その場合、当の患者側はどのように考えるかを見定めることが必須となる。そこで、平成30(2018)年度の診療報酬改定結果検証部会(中医協の分科会)では、「定額負担」にかかる調査を実施、その結果が中医協に報告された。その中に患者への調査も含まれ、具体的な初診ケースを取り上げ、「いくらまでなら負担してもよいか」という許容金額を尋ねている。

 

● 自覚症状によって負担許容度に変化あり

 

 提示されている初診ケースは2つ。1つは「前日から、のどのいがらっぽさや痛み、鼻水が出て、少し体調が悪いと感じている」というもの(Aケース)。いわば風邪などの軽症ケースだ。もう1つは、「数日前に、胸のあたりに圧迫感や締め付けられるような感じと、冷や汗が出たり呼吸しにくかったりする状態が続いた。その後症状は落ち着いたが、心配だ」というもの(Bケース)。こちらは、循環器系の重篤疾患などの可能性が示唆されている。
 これを、①2018年度改定前の対象病院と、②同改定で範囲が拡大された病院で比較している。Aケースでは、「5,000円未満でも負担があれば大きな病院を受診しない」という回答が、①で75.3%、②で69.9%にのぼる。これに対し、Bケースでは①で14.1%、②で18.2%へと急減する。自覚症状によって反応が大きく変わることが明らかだ。一方で、Bケースであっても「5,000円まで」とする回答が、①で57.6%、②で46.2%とほぼ半数を占める。「追加料金がいくらでも大きな病院を受診する」という回答も①で10.6%、②で16.8%あるが、それでも「症状にかかわらず現状の5,000円が上限」と考える患者の多さが目立っている。
 こうして見ると、定額負担にかかる患者の許容姿勢は一定程度あるものの、そこからさらに踏み込むとなれば、かかりつけ医の機能強化を図ることがカギとなる。つまり、重篤な自覚症状でも「身近なかかりつけ医に診てもらうことの安心感」の醸成が欠かせないわけだ。このあたりに注意しながら、議論の流れを追うことが必要になるだろう。

 

 

2019.04.25

 

 

田中 元(たなか・はじめ)

 介護福祉ジャーナリスト。群馬県出身。立教大学法学部卒業後、出版社勤務を経てフリーに。高齢者介護分野を中心に、社会保障制度のあり方を現場視点で検証するというスタンスで取材、執筆活動を展開している。
 主な著書に、『2018年・改正介護保険のポイントがひと目でわかる本』『認知症のお客様対応マニュアル』(以上、ぱる出版)、『現場で使えるケアマネ新実務便利帳』(翔泳社)など多数。

 

 

 

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【ポイント9】
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【ポイント10】
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目 次

プロローグ
【情報収集の手段を知る】知りたい情報を素早く手に入れる方法

第1章
イラストでわかる介護サービスを選ぶポイント【選び方の基本10カ条】

第2章
わが家を中心として受けるサービス

第3章
住み替えや施設入所で受けるサービス

第4章
介護保険の給付外で注目したいサービス

[巻末ガイド]チャートでわかる・介護サービス早見表