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「会社を潰す可能性を潰してみてはどうですか?」
というアドバイス
マネーコンシェルジュ税理士法人 代表社員/税理士 今村 仁
  中小企業の経営者を中心とした法人マーケットにおいては、「将来のリスクヘッジ」というのは重要なキーワードではないかと思います。例えば、「経営者に万一のことがあった時のための運転資金対策としての保険加入」、「役員退職金の準備としての保険加入」、「会社重要資産への保険加入」などです。
  この中小企業における将来のリスクヘッジというのを、もう少し拡大解釈すると、「会社を潰す可能性を、潰しておくこと」といえるのではないでしょうか。業績の良い会社や安定している会社に対して話をするときに、こういった観点でアプローチすると思いのほか熱心にこちらの話を聞いてくれるというケースもあります。
  そこで今回は、中小企業における「会社を潰す可能性潰し」について、いくつか確認してみたいと思います。
■ 10年後の会社の人員構成をイメージしていただく
  例えば、多店舗展開をしている飲食業やサービス業などにおいては、ある程度パッケージ化された店舗出店のノウハウが固まると、他にマネされるリスクなどもあってか、出店を急いでしまうケースが散見されます。既存店の売上や利益が下がっていないのであれば、そのこと自体は素晴らしい事のように一見思われます。
  しかし、現在の社員の10年後を具体的にイメージしてみると、果たしてこのまま出店だけを加速していって、会社をこの先もゴーイングコンサーン(永続的に続けること)できるのかどうか、疑問に思うはずです。
  一般的に、多店舗展開をしている飲食業やサービス業というのは、職業柄、店長は若くないとうまくいかない、というケースは多いと思います。今30歳の店長も10年後には40歳です。更にはその上の幹部クラスになると社長と同世代ということもあるでしょうから、社長が現在40歳なら10年後は彼らも50歳ということになります。果たして現在と同じペースで出店を続けていった場合、同じように収益を上げることは可能でしょうか。
  実際、私がこういった話をクライアント先に話したところ、次の出店を1店舗控えて、その資金で従業員の将来の退職金準備も兼ねて積立型の保険加入を検討されました。以上のことから、「10年後の御社の人員構成はどうなっているでしょうか?」というアプローチは時に経営者の心を打つようです。
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