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事業承継と遺留分対策のための生命保険加入
マネーコンシェルジュ税理士法人 代表社員/税理士 今村 仁
  中小企業における事業承継において、多くのケースで話題にのぼるのが「遺留分」です。今回はその遺留分について、対策も含めて解説します。
■ 遺留分とは?
  そもそも「遺留分」とはどのようなものかご存知でしょうか。遺留分とは、一定の相続人のために、相続に際して法律上取得することを保障されている相続財産の一定の割合のことで、被相続人の生前の贈与又は遺贈によっても奪われることのないものです。
  ここで大事なのは、遺留分とは「形成権」であるということです。つまり、形成権とは相手方の承諾を必要とせず、権利の一方的な意思表示で効力を生じます。ということは、遺留分を侵害されている相続人が、(それで納得すれば特に問題とはなりませんが)ひとたびその意思表示をすればそれで効力が発生してしまうということです。
  では、遺留分とはそれぞれの相続人にどれくらい認められているものなのでしょうか。まず、遺留分を有する相続人ですが、これは兄弟姉妹を除く法定相続人となっています。具体的には、配偶者、子供、直系尊属(父母等)が該当します。遺留分の割合は、原則として被相続人の相続財産の1/2とされていますが、遺留分権利者が直系尊属のみの場合は相続財産の1/3です。
  事業承継でよくあるケースで考えてみますと、長男(兄)が事業承継予定者で高額の自社株を相続し、妹の遺留分を侵害しているとします。この場合、妹は、法定相続分である「1/2×1/2」の半分である「1/2×1/2×1/2=1/8」の遺留分を有していることになります(相続人が妻と兄、妹の3人と想定)。
  一方、遺留分減殺請求とは,遺留分を侵害された者が,贈与又は遺贈を受けた者に対し、遺留分侵害の限度で贈与又は遺贈された物件の返還を請求することです。遺留分減殺による物件返還請求について当事者間で話し合いがつかない場合や話し合いができない場合には,遺留分権利者は家庭裁判所の調停手続を利用することができます。ちなみに、遺留分減殺請求の意思表示は、相続開始及び減殺すべき贈与又は遺贈のあったことを知ったときから1年又は相続開始のときから10年を経過したときは、することができなくなります。
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