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後継者の金銭感覚を狂わせない、自社株納税対策
マネーコンシェルジュ税理士法人 代表社員/税理士 今村 仁
■ 中小企業の株式には担税力がない
  もしあなたが現金1億円を相続して、「相続税を2,000万円払ってください」といわれたら、払いたくないかもしれませんが払うことは現実的に可能です。また、1億円の評価となる土地があって、同様に「相続税を2,000万円払ってください」といわれたら、時間と費用はかかりますが、売却できれば相続税を払えます。ケースによっては物納も可能かもしれません。
  では、中小企業における未上場の自社株を後継者が相続して同様に「相続税を2,000万円払ってください」といわれたら…、通常そのままでは現実的に払うことができません。
  会社に現預金があれば会社に買い取ってもらうという方法もありますが、上場株のような市場性は皆無ですので、他に売却できる可能性はほぼありません。また、経営権を考えれば後継者が自社株を手放すことは不可能というケースも多いでしょう。一方、納税猶予という新税制(平成27年以後に改正されますが、この原稿では改正前を想定しています)もありますが、物納と同様、あまり現実的ではありません。
  つまり、中小企業の未上場株式については相続税を払えるだけの担税力が実質的にはないといえます。
■ 暦年贈与は有効な手段
  そのため、現経営者が元気なうちから、中小企業の自社株に対する相続税の納税対策が必要となります。そこでオーソドックスながら有効な手段が、年間110万円の基礎控除がある暦年贈与の活用です。
  暦年贈与とは、一人の人が1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対して贈与税がかかるというものです。従って、1年間にもらった財産の合計額が110万円以下なら贈与税はかかりませんし、申告も不要となります。また、もらった財産の合計額は贈与を受けた人ごとに計算しますので、複数の方から同じ年の間に贈与を受けた場合には、贈与を受けたすべての財産を合計して贈与税を計算します。この場合、基礎控除は110万円で固定ですので間違いのないようにしてください。
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