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認知症対策としての家族信託のススメ
マネーコンシェルジュ税理士法人 代表社員/税理士 今村 仁
■ 83歳の地主・Aさんがもし認知症になったら…
  肉体的にも精神的にも今は元気といえる地主家系のAさん(83歳)ですが、奥さんを早くに亡くされているので、推定相続人は60歳の長男と58歳の長女です。多くの土地を所有していますが、地主家系ということもあって、土地については長男が主になって承継していくことに家族全員が納得しています。
  しかし、それでは長女にほとんど財産が渡らないので、長女含めて家族全員がなんとかしたいと考えていますが、Aさんの資産のほとんどが土地であるため、今後は一部売却などが必要と考えられます。
  また、Aさんの相続税を試算すると、平成27年の相続税増税後のシミュレーションでは、数千万円の納税となり、キャッシュが足りない状況です。早急に、生前贈与や不動産の買換えなどの資産の有効活用・相続対策が必要です。もし、この状況でAさんに認知症の兆候が出始めたら…。
■ 成年後見人制度にはデメリットも
  Aさんが認知症となってしまったら、ご自身の不動産を売却することは通常出来ません。もちろん、相続対策で不動産を購入するまたは建てるということも、同様に出来ません。認知症となった場合には、正式には、Aさんに成年後見人をつけることになります。これには長男や長女がなってもいいですし、司法書士などの専門家にお願いしてもいいのです。
  しかし、成年後見人というのは、「被後見人=Aさんの保護だけ」を目的とする制度ですので、その趣旨に反する一切の支出が禁じられています(この部分があるために、現在の成年後見制度は実務上かなりいびつなものになっている側面があるので、早急な制度変更等を期待しています)。
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