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家族信託のさまざまな活用法
マネーコンシェルジュ税理士法人 代表社員/税理士 今村 仁
■ 生前に家族信託を結ぶ
  前回の連載では、認知症になる前に「家族信託(成年後見信託)」の契約を結んでおきましょう、というお話をさせて頂きました。認知症になってから成年後見人をつけると、その後は、事実上相続対策を行うことが出来なくなります。一方で、認知症が発症する前のお元気なうちに、例えば、「委託者:父、受託者:長男、受益者:父」という信託契約を委託者である父と受託者である長男で結んでおき、信託目的に相続対策などを盛り込んでおくと、父が亡くなる直前まで相続対策を行うことが可能となります。
  今回は前回に引き続き、民事信託である「家族信託」について、前回とは異なる活用法をお伝えします。
■ 子供がいらっしゃらない夫婦
  例えば、お子さんのいらっしゃらない夫婦で、夫が亡くなった後の財産の行方として、通常は「夫 → 妻 → 妻の家系へ」となる事に対して、何か対策がたてられないかというニーズがあったとします。特に、代々守ってきた土地がある、などという場合には、夫の兄弟姉妹などで疑問があがることがあります。
  例えばこんな場合に、以下の内容で信託を設定します。
 委託者:夫
 受託者:夫の弟の子供(甥)
 受益者:夫 → 夫の死亡後は妻
 (妻死亡時に信託終了として、信託財産の帰属先を甥にしておく)
  こうすると、妻が生存中は妻の生活費などをきちんと確保でき、その後は、夫の家系に財産が渡っていくことが可能となります。
  信託を使わない場合は、妻に遺言を書いてもらうなどの対策がありますが、夫亡き後、妻の気持ちが変わってしまう等に対しては防ぎようがありません。
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