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相続増税後の切り札!『小規模宅地の評価減』(その4)
マネーコンシェルジュ税理士法人 代表社員/税理士 今村 仁
■ 老人ホーム入居の場合の取扱い
これまで3回にわたり、“小規模宅地の評価減”について解説してきましたが、今回がこのシリーズの最終回です。今回のテーマは、以前までに説明した小規模宅地の評価減における「特定居住用宅地等=被相続人の自宅」についてです。
  最初は、「老人ホーム入居」の場合の取扱いです。問題は、被相続人が老人ホームに入居してその後亡くなった場合に、被相続人の自宅について、小規模宅地特例が使えるのかどうかです。
<改正前>
原則的には、適用不可。
ただし、下記4要件を満たせば適用可能。
1. 被相続人の身体又は精神上の理由により介護を受ける必要があるため、老人ホームへ入所することとなったものと認められること
2. 被相続人がいつでも生活できるようその建物の維持管理が行われていたこと
3. 入所後あらたにその建物を他の者の居住の用その他の用に供していた事実がないこと
4. その老人ホームは、被相続人が入所するために被相続人又はその親族によって所有権が取得され、あるいは終身利用権が取得されたものでないこと
  つまり、終身利用権を取得するようなケースでは、問答無用で適用不可となっていました。
  <改正後>平成26年〜
  平成26年1月1日からは下記2要件となり、大幅に緩和措置が図られました。今後は老人ホームに被相続人が入居する場合でも、貸付け等の用途に使用されていなければ、特定居住用宅地等として80%減額特例の可能性があります。
1. 被相続人に介護が必要なため入所したものであること(要介護または要支援認定されていればOK、無届出老人ホームは適用不可)
2. その家屋が貸付け等の用途に供されていないこと
  つまり、改正前の2と4が不要となります。もちろん、終身利用権を取得した場合も適用可能になります。
  生前相続対策としては、小規模宅地の評価減を受けたいのであれば、老人ホーム入所後も他人に貸さない事となりますが、これは家賃収入等他の事項との兼ね合いにもなりますので、全体的な判断が必要です。
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