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第132回
家計を助ける主婦に厳しい、第3号被保険者の矛盾
社会保険労務士 桶谷 浩
■第3号被保険者制度の持つ矛盾とは
  「専業主婦優遇」との指摘がある国民年金の「第3号被保険者」制度をめぐり、会社員の夫の年収が高いほど、妻が第3号被保険者の適用を受けている割合が高いことがわかった。夫の年収が900万円以上の世帯の場合で、7割を超えた(政府の男女共同参画会議の有識者グループ調べ)」
  これは今年の2月の上旬に掲載された新聞記事です。私もこの件については気になっているところですので、具体例を出して考えてみようと思います。
■配偶者の所得が高くても低くても、扶養の基準は変わらない
  結婚したあとも働くことに生きがいや意義を感じて働く女性もたくさんいらっしゃいますが、公的年金の受給資格だけの話であれば、サラリーマンの妻ならば働かなくても第3号被保険者でいられます。たとえば夫が月給200万円の会社役員(年収が2400万円)でも、専業主婦の妻はサラリーマンの妻として第3号被保険者になり保険料を負担する必要はありません。
  一方、夫の月給が25万円(年収300万円)の夫婦がいたとします。この場合も、妻は働いていなければ、サラリーマンの妻として第3号被保険者という立場になることができます。このとき、年収300万円では家計が成り立たないと考えたなら妻は一家の収入を増やすために働こうとするでしょう。しかし、妻の年収が扶養の範囲を超えると第3号被保険者という枠からも外れてしまいます。そこで、夫の稼ぎが少ないのでパートやアルバイトを始めたとしても、健康保険と年金の負担を回避するため、年収を130万円以内に抑えなくてはという自制の気持ちが働くわけです。
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