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第139回
遺族年金や加給年金の生計維持要件
社会保険労務士 桶谷 浩
●生計維持要件とは
  遺族年金や加給年金に関しては、「生計維持要件」という要件があります。
  具体的に言うと、
  「年収が850万円未満の収入の要件を満たすこと」
  および
  「生計が同一であること」
  の2つです。そのうち収入要件については、定年退職等の理由により近い将来(おおむね5年以内)に収入が年額850万円未満または所得が年額655.5万円未満になることと実務上は運用されています。
  しかし、夫が死亡した時や加給年金の受給資格が発生する時に、その時点で年収が850万円を超えていても、生計維持の要件が全く認められない訳ではなく、遺族年金や加給年金を受け取ることができることも多いのです。
●年収850万円未満という要件
  生計維持の認定日において、恒常的に年額850万円以上の収入を有している人であっても、おおむね5年以内に年額850万円未満となることが明らかである場合は、当該事情を証明する書面を出すことにより遺族年金や加給年金の支給が認められることになります。
  具体例としては、勤務先の就業規則・退職規程があげられます。現時点で年収が850万円を超えていても、5年以内に定年(本人の意思によらない退職)になり年収が下がるということを証明するのです。
  退職規程がない場合は大変でしょうが、その会社の慣習(ほぼ全員が一定の年齢で退職しているという事実があればそれが証明になります)を確認できる何かがあれば認められるようです。公務員等の場合はその定年退職年齢を確認するため法律や条例を添付することになります。
  また、おおむね5年というのは幅が広くて、大体5年6カ月程度とされています。厳密に5年を少し超えてしまうケースでも急に収入が下がるような場合は認められるということですので諦める必要はありません。
  自営業等収入が毎年不安定で、850万円を上下していた場合も(ずっと850万円を超えていた場合はだめですが)、恒常的な高収入とは認められないとされ、年金は支給されます。
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