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第141回
公務員共済年金と厚生年金の加入基準の違い
社会保険労務士 桶谷 浩
●公務員共済に加入できるのは原則、完全フルタイム勤務の公務員
  厚生年金に比べ、公務員共済の加入要件は独特のものになっています。
  厚生年金では、
  @1日又は1週間の労働時間が正社員の概ね3/4以上であること。
  A1ヶ月の労働日数が正社員の概ね3/4以上であること。
  という2つの要件に該当する場合、事業主は従業員を厚生年金に加入させる義務があります。
  もっと具体的に言うと、週40時間労働の会社であれば、概ね週30時間以上、週35時間労働の会社であれば、26時間15分以上であれば、厚生年金の加入を考えないといけません。
  これは労働契約であって、パートタイマーやアルバイトなど、どんな雇用形態でも、その契約内容の如何にかかわらず、労働時間が上記の基準を超える場合は加入しなければなりません。
  しかし、公務員にはこの基準は適用されません。
  以前にも実例があったのですが、市役所勤務でも厚生年金に加入されている知り合いがいたり、市役所退職後に市役所再就職で「厚生年金扱い」で働いている近所の方がいたりと、公務員共済については私も基準がよくわからない状態でした。
  そこで改めて確認してみたことがあります。
  まず公務員共済(共済年金)に加入できるのは原則、「完全フルタイム勤務」の人たちだけです。国家公務員の場合、勤務時間が「一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律」という規定があり(地方公務員の場合はその地方の条例により異なります)、「職員の勤務時間は、休憩時間を除き、1週間当たり38時間45分とする」とされています。この規定がきちんと適用されている人のみ「共済年金(共済組合)に加入することができる」わけです。
  それでは、それ以外の役所勤めをされているパートやアルバイトの人は年金制度に加入できず、民間企業に比べて取り扱いが厳しいのかといえばそうではありません。
  国家公務員については、「短時間勤務職員については、1日又は1週間の勤務時間及び1月の所定勤務日数が、同種の業務に従事する通常の定年前の職員の当該勤務時間及び所定勤務日数の概ね4分の3以上である場合には、健康保険(全国健康保険協会管掌)・厚生年金保険が、これに該当しない場合には国民健康保険がそれぞれ適用されることになります」(総務省)と定められています。
  そこで、たとえば役所で週31時間雇用される人は、厚生年金と健康保険に入りそちらの保険料を払うということになります(ここが4分の3ではなく30時間と書いてある地方公務員の取扱規定もありました)。いずれにせよ、毎週一定時間以上働く場合は、公務に従事していたとしても厚生年金および健康保険の被保険者になります。
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