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第142回
「国民年金の後納制度」の基礎を押さえましょう
社会保険労務士 桶谷 浩
● 10年遡って国民年金を納められる制度が10月から始まります
  平成24年10月より、通常は2年以内の未納分しか納められないところを、時限措置として10年遡って納められる「国民年金の後納制度」が始まります。
  制度の開始が近づくにつれ、内容の詳細についてあちこちで解説が出てきていますが、FPとしても、お客様から尋ねられた場合に基礎的な事は対応できるようにきっちりと押さえておきましょう。
  特に年金の受給に必要な期間(原則25年)を満たしていないような人にとっては、最後のチャンス! それこそ年金がもらえるかもらえないかの瀬戸際の問題になるかもしれません。
● ポイント1 対象となる人・手続先
  対象となる人は以下の通りです。対象となる人は年金事務所に申し出て手続きを行う必要があります。
1) 20歳から60歳未満の方で直近10年以内に納付忘れのある方、未加入期間のある方
  まず一般的に想像されるのはこれらの方でしょう。
  遡って10年以内に未納・滞納がある方は、この制度を利用して保険料を納め、老後の年金を増やすのが無難かと思います。
2) 60歳以上65歳未満で、任意加入期間中に納め忘れの期間がある方
  年金にあまり詳しくない人は、保険料の納付は60歳までではないのかと疑問に思われたかもしれません。
  原則はそうですが、60歳時点で40年の納付期間に満たない方については、60歳を過ぎた後でも、任意で(自分自身で申し出ることによって)保険料を納付することができます。
  せっかくこの任意加入の手続きをしたのに、保険料を未納・滞納してしまった場合には、その分が納付できるという事です。
  任意加入の「任意」という文字に注目してください。国民年金の強制加入期間は60歳までで、なにもしなければ任意加入とはなりません。任意加入はあくまで自発的意志で行うものですから、通常は納付意志が固い方が多く、あまり未納・滞納などはしていないだろうと思いますが、理屈としては「任意加入」している期間の未納・滞納ということが前提になります。
3) 65歳を過ぎても任意加入を継続している方
  65歳を過ぎれば、もう基本的に国民年金を受給する年齢であり、受給を開始している場合は未納・滞納があっても後納は不可能ですが、唯一年金を受ける資格のない方は、特例任意加入という制度で、70歳まで保険料納付ができます。この特例任意加入を申し出た人でかつ、その特例任意加入の間に、未納滞納があった場合は2)と同じく、後納制度を利用することができるのです。
  しかし、特例任意加入も、任意加入の一種ですので、こちらもまず特例任意加入を申し出ていたということがなければ後納の機会は発生しません。
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