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第144回
加給年金の過払いにご用心を
社会保険労務士 桶谷 浩
● 1ヶ月で2回も遭遇
  年金記録問題で大揺れし、記録の漏れや間違いを訂正する動きはここ数年確実に進展し、まだまだ油断はならないものの記録の不備に遭遇する事は目に見えて減ってきました。今では「ねんきん定期便」で毎年の納付記録は送られてきますし、今後はさらに改善が進むことでしょう。
  ところが、全く以前と状況が変わっていないものがあります。「加給年金」および「振替加算」の問題です。
  何と私は、今年の9月1ヶ月の間に実際に2件も支給の間違い(過払い)に遭遇してしまいました。ということで、普段から加給年金について触れる事も多いのですが(第126回では振替加算の問題を取り上げています)、非常に印象深かったので今回また触れておきます。
● 本人は全く訳がわからないから性質(たち)が悪い
  昔働いていた会社の記録が漏れているとか、当時貰っていた給与額が違うというのは、年金の問題というよりも事実の問題です。ですから本人に年金知識がなくても記憶が残っていれば「おかしい」とか「変だ」という事に気がつきます。
  そして年金は働けば働くほど、給与が高ければ高いほど支給額が増えるしくみですから、本人に年金知識が全くなくても記録を訂正することに問題はありません。
  事実まったく何が何だかわからないうちに「ねんきん特別便」が来て、言われるままに半信半疑で年金事務所に行って、あれよあれよという間に記録が回復され年金額が増えたという方も沢山いらっしゃいます。
  ところが、加給年金および振替加算については、しくみが非常にわかりにくいので一般の方が証書や支給額変更通知を見て「加給年金がつかないはずなのについている」「加給年金がつくはずなのにつかない」というような判断は容易にはできません。
  大抵の年金受給者は、「年金額の総合計」は気にされますが、その内訳を気にされる方はまれです。
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