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第147回
ますますわからなくなった「カラ期間」
社会保険労務士 桶谷 浩
● まずは「カラ期間」のおさらいから
  カラ期間とは一体何でしょう。厚生労働省の年金財政のウェブサイトによると、「カラ期間=合算対象期間」とあり、合算対象期間は以下のように説明されています。
老齢基礎年金などの受給資格期間をみる場合に、期間の計算には入れるが、年金額には反映されない期間のことです。年金額に反映されないため「カラ期間」と呼ばれています。合算対象期間には、
  昭和61(1986)年3月以前に、国民年金に任意加入できる人が任意加入しなかった期間
  A 平成3(1991)年3月以前に、学生であるため国民年金に任意加入しなかった期間
  B 昭和36(1961)年4月以降海外に住んでいた期間
などがあります。
  要するに、老後の年金を貰うため、現在25年必要となっている保険料納付期間について、25年以上ない場合でも、この期間があれば25年の必要期間の計算に組み入れてあげるから救済されますよ、という期間のことです。
  わかりやすい例を挙げると、日本国籍のブラジル在住者(日本からの移民の方の中には未だにブラジル国籍を持っていない方もいらっしゃいます)が、日本に5年間出稼ぎに来て、会社勤めをしたとします。そうすると5年間は厚生年金の納付期間ですが、それ以外の全期間をブラジルで生活していたのなら35年間分が海外在住のカラ期間となり、5年分の厚生年金および国民年金がもらえる、というようなケースです。
● 全くかすらないカラ期間
  このカラ期間ですが、一見単純そうに見えますが、実務的にはいろいろと面倒でわかりにくい所があります。
  前述の海外在住の例や昭和61年までの専業主婦の期間などは、「全くかすらないカラ期間」だと私は思っています(この場合の「かする(掠る)」「かすらない(掠らない)」は、年金受給の要件に寄与するかしないかを意味していますが、筆者が個人的に使っている表現ですのでご注意ください)。
  たとえばその期間に病気やケガをして障害状態に該当したとしても「障害年金」の受給要件に寄与しません。障害年金についてはこの方たちには権利が無いのです。国民年金にも厚生年金にも加入していない状態ですから当然といえば当然です。
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