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第153回
社長さん、もっと働きますか?
社会保険労務士 桶谷 浩
● うらやましい相談
  知り合いのFPの方から、「家族経営の会社の社長さんで、会社の業績が良くて給与は100万円超という方なのですが、もうすぐ60歳になるので年金について関心があるそうです。どのようなアドバイスをしたらよいでしょうか?」という問い合わせを受けました。
  今回はこの方へのアドバイスを考えてみたいと思います。
  社長さんの給与をどうするかというのは大変に悩ましい問題で、以前(連載第135回「社長さん、その給与の設定は正しいですか?」参照)にも取り上げたことがありますが、その時は給与が高い場合ではないケースを考えてみました。給与が高い場合は年金のことは考えずに、まず税金のことを考えて支給額を決めてくださいという書き方をしましたが、今回は給与が100万円を超えているケースです(そんなに稼いでいるなら年金のことは考えなくても良いでしょうとは言えませんから)。
● まずは原則を
  まず、最初にお断りしておきますが、社会保険については、法人の場合は強制加入です。社長さんと親族だけの家族経営であっても例外はありません。
  この相談事例では、「法人化はすでに終わっているが、厚生年金・健康保険には加入していないので今から加入することの有利不利を含めて検討したい」とのことだったのですが、その前に「法人は強制加入です」ということをきちんと申し上げなければいけません。
  すでに会社を法人化しているのならば加入は必須であることをまず理解してもらわないと、違法状態を容認、あるいは前提としてアドバイスをしてしまうことになり、FPとして倫理上の問題が生じて後日トラブルの元となります。
  とはいえ、我々は役所の人ではありませんから、「強制加入ですから法律に書いてある通り加入すべきです」というようなアドバイスでは話は前に進みません。これでは“上から目線”の言い方ですし、誠意のないとても不快感を与える説明になります。
  メリットはこう、デメリットはこうというきちんとした説明をして、納得を得て加入を促す必要があります。決断を下すのはあくまでもクライアントです。
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