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第160回
「マイナンバー法案成立と年金請求」
社会保険労務士 桶谷 浩
● 今、年金請求の手続きに必要な3つの番号
  5月24日にマイナンバー法案が参議院を通過し成立しました。
  以前にもすこしマイナンバー法案に触れてきましたが、今回は年金請求手続きとマイナンバーの運用に関連して触れてみたいと思います。もちろん詳細についてはまだよくわからないことが多いため、内容の一部に未確定な部分があることをご理解ください。
  年金を受け取れる年齢になると、おおよそ誕生日の3か月前に日本年金機構から請求書類が届けられます。
  年金を受給しようとする人は、その書類の必要事項を埋め、誕生日の前日以降になって年金事務所に持参または郵送するのですが、その作成に際して利用される公的な番号が3つあります。1つめは当然ですが基礎年金番号。日本年金機構はこれをキーにすべてを管理しているのでこの番号は必ず請求書に打ちだされています。しかし、人によっては複数の基礎年金番号を持っている人がいます。複数あるのに1つしか記載されていない場合は記録漏れ=正しくない年金となりますので、これらの番号も同時に請求書に書くことになります。
  2つめは、住民票コードの番号です。住基ネットワークのキーとなっている番号ですが、この番号を書くと、現況届が不要になったり、年金を既に受けている者が引っ越した場合の転居届け等が不要だったりという措置が受けられます。この番号がなくても書類の受理自体はなされますが、各種のメリットがありますのでなるべく請求時には記載していただくよう行政的にも勧めているものです。
  また単身者や、夫婦両方ともが自営業のような場合、つまり加給年金がつかない場合については、生計を一にする夫婦であるという証明が必要ないので、この住民票コードの番号を記載すれば基本的に戸籍または住民票の添付が不要となります。
  そして、3つめは雇用保険の被保険者番号です。
  これは、年金と雇用保険からの給付(失業した場合の基本手当や60歳以降継続雇用の場合の高年齢雇用継続給付)を受ける場合に、年金が停止されたり減額されたりすることがあり、その調整のために雇用保険の番号を日本年金機構として控える必要があるために記載するものです。
● 全部をそろえるのは意外と大変
  基礎年金番号は問題ないのですが、他の2つは簡単にそろう人とそろわない人がいます。
  特に住民票コードの番号は、平成14年に全国民に通知をされたのですが、なにせ通知から10年以上もたっている上に、普段からこのコード番号を使う機会がめったにないため、「あれ? 何かそんなものが来た記憶はあるんだけれどどこにいったかなぁ」、「そんなもの知らない」と、おっしゃる方がとても多いのです。
参照 :「住民基本台帳ネットワーク」松江市HP
http://www1.city.matsue.shimane.jp/kurashi/todoke/juki/net/code/code.html
  通常、役所で住民票を請求するとこの住民票コードは省略となり記載されませんが、「コード付きの住民票」と明示して住民票を請求すると、このコードが記載されます。お客様がご自身の住民票コードがわからない場合は、「コード付きの住民票を取得してくださいね」と、お願いすることになりますが、これをお読みの方の中にも、すぐに自分の住民票コードの番号がお分かりにならない方が多いのではないでしょうか?
  雇用保険の番号も、退職して7年を過ぎた場合は添付の必要性がなくなりますが、離職時と年金請求時が接近していると、添付書類として雇用保険の被保険者証のコピーの添付が必要となります。退職した後には被保険者証に関心がなく、「どっかいっちゃったよ」という方も少なくありません。その場合は再発行をしてもらうことになるのです。現役でお勤めの方も大抵の会社では、雇用保険の被保険者証は会社保管(将来の離職時のため)にしているところが多く、会社でコピーをもらってくる必要が生じます。
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