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第165回
国民年金保険料の後納付制度延長へ?
社会保険労務士 桶谷 浩
● 我々が年金相談で心がけること
  年金相談でうそをついてはいけませんし、相談員はみな普段からそのように強く心がけています。
  しかし、我々の責任ではなく、制度の上でどうしても説明が不正確になってしまうことがあります。特に「期間限定措置」は、説明がしづらくお客さまに誤解を与えてしまいます。
  期間限定措置で一番知られているのは、障害年金の保険料納付要件です。
  法律では、保険料について全体の被保険者期間の3分の2以上の保険料納付済期間である(3分の1を超える未納滞納がない)状態でないと障害年金は受け取れないというのが原則ですが、もう一つ特例の要件があります。それは、「直近1年の間(初診日のある月の前々月までの1年)に未納期間がないこと」です。
  現在の現場対応では、まず1年の間に未納期間がないかを確認したらもう3分の2要件は検討しません。未納がなければ検討する意味がないからです。
  さて、ご存じの方は多いと思いますが、この1年要件は厳密には平成28年4月1日までの期間限定措置です。
  しかも、これは以前、平成18年までの期間限定措置だったものが、さらに10年延長され継続しているものなのです。
  なぜ、時限的な措置を続けるのか理解できませんが、さしたる反対もなく、既に再延長の話が検討されています。
  しかし変です。障害年金を貰えるかどうかはとても大切なこと。
  年金相談でも、「あなたは未納が多く、今から保険料を納付しても3分の2の要件は満たせませんが、直近1年間、保険料の未納滞納がなければ年金はもらえます。今後1年は絶対に病気やケガをせずに保険料を納めてください」と説明することがあります。
  でも、未納期間が長い場合に、この期間限定措置がなくなったとしたら、これからせっせと保険料を納付したとしても3分の2要件を満たさないので、障害年金を貰うことができなくなります。
  ただ、我々にとっての救いは、障害年金に関しては将来の相談をされることがあまりないことです。
  老後・遺族の年金に関しては、将来歳をとったらどうなるとか、将来夫が死亡したらどうなるとか、そのような不安がある、将来のことを仮定しての話となることが多いのですが、障害年金は、基本的に病気になってから考えるものですし、実際に病気になった時は保険料納付の判断基準となる初診日が既に確定しているので、納付要件云々を議論する余地はありません。
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