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第167回
障害年金を請求するのは大変?
社会保険労務士 桶谷 浩
● 相手にもされない
  先日、ご相談に来られた方のお話です。
  もうすぐ、60歳になられる方が相談にいらっしゃいました。
  聞けば心臓が悪く、3年前から病院に通っているとのこと。しかも身体障害者手帳は1級となっているそうです。
  しかし、年金事務所へは障害年金の相談に2回行ったものの「あなたは全然日常生活に支障をきたしているように見えないので、障害年金の対象にはならない」とけんもほろろの対応で全くとりあってもらえなかったそうです。心臓が悪いのは、外形的判断では全く分からないと思うのですが……。
  年金の受給の決定には全く関与できない年金事務所の窓口の人が、そういう具体的な(もらえるとかもらえないとかいう事)判断を自分勝手にやっていいかどうかという行政的・制度的な問題はともかく、年金事務所の窓口で支払不可というようなことを見た目だけで判断されて言われたのでは、「本当は自分の状態で貰えるのではないのか」と相談者が疑問を持ったとしても不思議ではありません。どの情報が正しくて、どの情報が間違いなのかは相談者にはわからないことが多いのですから。
● その対策の前に基本事項を
  では、われわれはこのような場合、どのような対応をしたらよいのでしょうか?
  障害基礎年金・障害厚生年金については、基本的に書類のやりとりが全てです。障害年金の審査や、日本年金機構側が診察や問診を行うものではなく、日本年金機構によって選任された認定医が提出された書類を基に行うとされています。もちろん形式的なもの(書類が整っているか、受給資格があるか、診断書が適切なものであるかどうか)等は医師ではない事務方が行います。
  流れとしては、主治医が観察して書いた障害認定日時点の障害状態の診断書を、年金機構側の医師が見て最終判断を行います。つまり、診断書のやりとりだけの、医師VS医師という構図になるのです。
  書面でのやりとりが全てですから、医師以外の者はなかなか間に入ることはできません。時々主治医に「診断書を書いてもらえない」という残念な例を聞きますが、主治医が全く動かないことにはどうにもならないのです。主治医が「あなたの病気は全然そのような状態まで達していない」と判断して診断書を書いてもらえないなら(本来それも問題だとは思いますが)まだしも、医師と患者が喧嘩して医師がへそを曲げてしまったということもあるようで、目も当てられない事例も少なくないようです。
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