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障害の状態が永久固定(つまり全く治癒する見込みがない)のものであれば、問題は難しくありません。障害等級に変更はないのですから、この方の場合は生きている間はずっと障害等級2級の障害基礎年金を受け取れることになります。つまり、支払った保険料がいくらであろうと、年金額を気にする必要はありません。
ところが、普通の病気・ケガ等の場合はそうはいきません。病気は重くもなりますし軽くもなります。仮に病気やケガが回復に向かい、障害等級3級に達しない状態になれば、障害基礎年金は支給されなくなります。そうなれば老齢基礎年金の対象になり、納付した保険料によって年金額に影響が出てくるのです。
実務的にも、障害基礎年金は永久に症状が固定の場合でなければ定期的に診断書の提出が求められ、その状況に応じて等級の変更等があったりするのです。
そこで法定免除が問題になってきます。保険料免除となった場合、老後の国民年金額を計算する際には、その期間に応じた年金は半額として計算されることはご存知かと思います。40年間まるまる免除期間であれば、受け取る老齢基礎年金の額は20年間保険料を全額納付したとして計算したのと同じ額になります。
ご相談の女性の場合、今までにも免除期間(こちらは経済的理由による申請免除の期間)と、カラ期間(学生時代等)があり、今後60歳までの期間を全部法定免除期間としたとすれば、仮に障害状態が回復して障害基礎年金が支給されなくなった場合、30年ほどの保険料払込期間に相当する分の国民年金(老齢基礎年金)しか支給されないことがわかりました。全期間保険料を納付した場合の4分の3、月額48,650円ほどですね、40年満額より16,000円ほど少なくなります。
障害状態が改善していくのは、その人にとっては大変喜ばしいことです。しかし同時に「障害基礎年金が支給されなくなる」という極めて悩ましい問題が発生してしまうのです。
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