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第178回
保険料アップ、予定利率ダウンの国民年金基金には加入しないほうがいい?
社会保険労務士 桶谷 浩
● 国民年金基金の保険料も4月から値上げ
  国民年金の保険料(掛金)が今年4月から値上げになりますが、自営業者等の年金の増額に利用される国民年金基金の保険料も、同時に値上げになります。
  報道によると、4月からの国民年金基金の新規加入者については保険料が平均7%程度値上げになり、加入者に保証する予定利率は1.75から1.5まで下げられるということです。
  20年前には4〜5%を超えるような魅力的な予定利率の時代もあった国民年金基金ですが、保険料を払う加入者が減少しているのに、年金受給者が増加する一方であるため財政が悪化し、予定利率が下がってすっかり魅力が薄くなったことは明らかです。
  2014年3月時点での保険料と受取額を比較しても平均寿命近くまで生きないと元を取れないという設定(保証期間なしの場合)なのに、4月から7%の値上げで元を取れるまでの期間がさらに延びるということですから大変です。
  国民年金基金は、国民年金法に規定される任意加入の公的年金に区分けされますが、そのしくみは民間の生命保険とほぼ同じで、保険料は加入時のものが変わらず続き、将来の受取額も変わりません。また、加入時期の予定利回りによって有利・不利が極端に出てしまうというところも生命保険と同じです。
  予定利率4%超時代であればおすすめの選択肢だったのですが、現在の保険料額と受取額を比べてみると加入するか・しないか悩んでしまうのも仕方がないことでしょう。逆に、予定利回りが高く、有利な時代に加入した人はそのまま継続するのがベストですが、やはり純粋な私的年金ではないので、会社員に転職して厚生年金に加入したり、結婚して第3号被保険者になったりすると加入資格を喪失して脱退しなければなりません(加入できるのは国民年金の第1号被保険者のみ)から辛いところです。
  最近のご相談事例でも、老後が不安で国民年金基金の加入を検討された方が、「思った以上に有利ではないなぁ…」とおっしゃり、加入を躊躇されているようでした。
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