Home > 税と社会保障 > 知ってビックリ!年金のはなし

第182回
国民年金の保険料納付期間は65歳まで?
社会保険労務士 桶谷 浩
● 国は保険料納付期間の延長を検討
  今年3月21日付けの日経新聞に「基礎年金の保険料納付65歳まで 厚労省検討」と題した以下の記事が掲載されました。
  「厚生労働省は公的年金制度を見直す検討に入った。全国民に共通する基礎年金(国民年金)保険料の納付期間を5年延ばし原則65歳までとする。厚生年金に入るパート労働者も増やす。人口減などの社会情勢の変化に年金制度が追いついていないためだ。改革案は制度の持続性を高める狙いだが、負担増や給付減への反発は強く実現には曲折がありそうだ。(後略)」
  国民年金のみを受け取っている方で、「年金額の少なさ」を嘆いていらっしゃる方は結構多いです。実際、今年度(平成26年度)の国民年金は、年間77万2,800円(月額換算6万4,400円)にしかなりません。ご夫婦とも自営業の世帯の場合、2人合わせても13万円を下回ります。働いているうちはいいが、その後が心配。何らかの形で年金額を増やしたいと思っていらっしゃる方は多いのです。
  年金額が少なくなればなるほど年金の重要性は小さくなります。年金はある程度まとまった金額がないと、生活の足しにはなりますが、老後生活を支える柱にはならないのです。
  消費税10%への税率アップと引き換えに、平成27年10月から年金の受給権取得までの納付期間(免除等含む)が25年から10年に短縮される予定です。受給できる人が増えるのは良いことですが、仮に10年しか保険料を納付せずに免除の申請もない人の場合、受け取れる年金額は、6万4,400円×(10年/40年)=月額1万6,100円にしかなりません。全くないよりはマシでしょうが、あまりにも額が少なすぎてせっかくもらえるようになった年金は生活の基盤にはなり得ません。そういう意味でも加入年数はとても大切なのです。
  ところで、冒頭の記事にあるように、65歳まで国民年金に加入できるように制度が変更されると、最長加入可能年数は45年になります。そうすると、今の年金(国民年金)と諸条件が変わらないという前提で計算すると、年金額は月額で6万4,400円×(45年/40年)=7万2,450円(端数処理を考慮せず)になります。
  金額的には月当たり約8,000円増ですが、率的には1.125倍になるのです。元々年金の絶対額が少ない国民年金のみの方の老後には朗報、良い影響を与えることになります。将来年金水準が下がった場合でも、絶対額が大きいため老後生活で受ける痛みはより少なくて済みます。
※ これ以降は会員専用ページです