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今年(平成26年)5月11日、田村憲久厚生労働大臣がNHKの番組内で、年金の受給開始年齢について「75歳まで選択制を広げる案が与党から出ており一つの提案だ」という話をされましたが、一部の人たちにはその内容が間違って伝わっているように見受けられました。本当に困ったものです。ここで念のため整理確認をしておきましょう。
まず、年金の受給開始年齢は原則、65歳です。男性は昭和36年4月2日生まれ、女性は昭和41年4月2日生まれ以降の方は例外なくこの原則が適用になります。それ以前に生まれた方については、生まれた年によって60〜64歳から特別支給の老齢厚生年金が受給できます。
これに加えて、本人の意思によって「繰上げ受給」という受給開始年齢を最長5年早めること(ただし年金額は減額されます)、および「繰下げ受給」という受給開始年齢を最長5年遅らせること(ただし年金額は増額されます)ができますので、受給開始年齢は60〜70歳の10年間から選択できます。これが現行の制度です。
厚生労働大臣の「開始年齢の75歳選択」の導入案は、上記の原則を変えるものではありません。65歳を基準に60〜70歳であった選択肢を、60〜75歳に広げてみてはどうかというものです。
ですから、現行の仕組みを変更する意図はなかったようで、後から厚生労働大臣も制度変更を意図したものでない旨の追加発言をされています。仕組みを全く変えずに選択肢が広がるだけの話であれば、誰一人現在の年金が不利に変更されるわけではないのですから大騒ぎする必要はないのです。
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