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第185回
厚生年金の最高支給額はいくら?
社会保険労務士 桶谷 浩
● 国民年金の最高支給額は決まっていますが…
  国民年金の最高の年金支給額は非常に簡単です。最高でも40年しか入れませんから、通常であれば年額77万2,800円(平成26年度価額)、これに20歳から60歳までマルマル40年付加保険料(9万6,000円)をつけて、合計86万8,800円(月額7万2,400円)です。これ以上はどうがんばっても年金額が増えることはありません。
  では、厚生年金の年金額はどうでしょう。
  年金に関心のある人なら誰しもそれがいくらになるか想像してみることがあるでしょう。現実には厚生年金は報酬が基礎となり、報酬はその当時の報酬額を現在価値に引き戻す再評価率というのを使っていたり、標準報酬の上限額(現在だと62万円)が今と昔とでは違っていたり、計算に使う乗率が生まれた年度で違っているなど、人によって状況がさまざまあり、厳密に計算しないときちんとした額は出てこないのですが、「大雑把にどの程度になるのか?」という概算なら出せます。
  こういう頭の体操も、暑い夏にはよい機会ですからやってみましょう。
● 前提となる条件
  厚生年金といっても、ここで計算するのは報酬比例部分の話です。差額加算とか加給年金をつけたトータルの年金額での最高額は、さらに細かな条件設定がないと出せず複雑になりすぎるため別の機会に譲ります。
  ご承知のように、厚生年金は法律上、最大70歳まで加入義務があります。前提としては70歳まで働くとしてよいでしょう。
  ではいつから加入できるか?
  これについては具体的な法的基準はありませんが、義務教育期間中は労働法上フルタイムで働けませんから、中学卒業時点から加入すると仮定します。ここで肝心なのは、4月生まれと早生まれの3月生まれとでは1年近く違ってくるということです。中学卒業時、4月生まれの者は15歳11カ月、3月生まれの者は15歳ちょうどです。
  長く加入できる人、つまり3月生まれの人を仮定しましょう。なおかつ会社によっては入社が4月からではなく、3月30日くらいから(研修を兼ねて)入社ということも稀にあるようです。そうなると、3月30日に厚生年金に加入、入社月の3月分は納付対象となります(保険料の日割り計算はしないので)。
  この3月生まれの人は、最長で15歳から70歳までのジャスト55年間(660カ月)、厚生年金に加入することが可能です。
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