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第186回
とんでもない勘違い
社会保険労務士 桶谷 浩
● 年金が少ない?
  相談に訪れたそのお客さんは、白いひげを生やしたちょっと怖めな感じの方でした。席に座るなり怒鳴り声で話し出しました。
「オレは去年、59歳半ばで仕事辞めたんだけど」
「はい」
「いきなり国民年金の保険料の納付書が送られてきやがったが、これ詐欺じゃないかよ?」
「あの、60歳までは年金は強制加入ですから、国民年金の納付書が来るのは普通のことですけど」
「オレは長年、会社(飲食業)で働いてきたのに、一体どういうことだ?」
「?」
「だからよ、国は堂々とこんな詐欺をするのかよ」
  何か全然話がかみ合いません、こちらが何を言っても火に油を注ぐような状態で、怒りが増幅する一方という最悪な状態。とても困ってしまいました。
● 大きな誤解
  国民年金の保険料の納付書が来ただけで、これだけ切れて怒り出した人というのは初めての経験です。何とかしなければと、こちらの気持ちは焦るばかりです。
  しかし、怒りの内容がさっぱりわからないので、何ともしようがありません。焦りながらも、何か手掛かりがないかと話を進めます。
「オレは25年以上厚生年金に入っていたんだよ。それが国民年金に変わるなんてどういうことだ? もってのほかだ!」
「いや、厚生年金をおやめになったら自動的に国民年金に替わるのですが、60歳まではどちらかの年金に加入するのです」
「国民年金の年金額は厚生年金より安いんだろう?」
「まあ40年加入で年間でも80万円にならないのですから、高いとは言えないですね」
「だろう! なんで、オレは長年厚生年金に入っていたのに、国民年金になるんだ?」
「???」
「保険料だって、厚生年金のほうが国民年金よりも高いんだろ? 散々高い保険料取っておいて詐欺じゃないか!」
  だんだんとですが、怒りの内容がわかってきました。
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