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第189回
公務員の再任用と雇用保険
社会保険労務士 桶谷 浩
● 公務員は失業保険に入らない!?
  公務員の方は雇用保険(失業保険)に加入されていません。時々「公務員は倒産がないから」雇用保険に入らないのだという方がいらっしゃいますが、確かにその考えを貫徹し全く雇用保険に類似するものがないなら納得がいきます。しかし、公務員の退職共済年金には雇用保険に相当する部分があり、それは退職時に退職金に組み込む形で支給されているといわれています。
  もちろん、公務員はそのような雇用保険に相当する部分を受けるにあたって、保険料を負担しているわけではありません。ここが、官民格差と批判される所以です。
  ただ、退職手当の中に「雇用保険に相当する部分」と明記してあるならばともかく、退職手当の中にどういう計算でどういう形で組み込む形になっているのかどうかは外部の人には明らかではなく、我々には見えてきません。私も確認したことはありません。
  このような公務員の雇用保険に関するしくみは一般の人にも納得しづらい面があるのでしょう。この問題が国会で取り上げられたことがあります。「公務員は何もしなくても失業給付が出て、民間の場合は何もしないと失業給付が出ないのは合理的ではない。公務員の優遇ではないか、官民格差ではないか」という内容の質問※1でした。
  民間の場合、失業給付が出ている期間は国から支給される年金は停止されますが、公務員の場合、前述のように退職金の中に組み入れているならば、もちろん年金は停止されません。実質的に年金と雇用保険を同時に受け取れる形ともいえます。
  いずれにせよ、公務員が現在「雇用保険に加入していない」ということは明白で、それが理由で退職後には雇用保険の基本手当を受けることはありませんし、60歳以降に給与が下がった場合に支給される高年齢雇用継続給付も関係ありませんから、民間の方よりも非常に説明の手間が省かれます(例えば、雇用保険の基本手当を受け取る時は年金が停止されます、高年齢雇用継続給付を受け取る場合は減額されます等)ので、その点は楽になります。
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