Home > 税と社会保障 > 知ってビックリ!年金のはなし

第192回
国民年金は65歳まで払い続けなきゃならなくなる!?
社会保険労務士 桶谷 浩
● 納付期間は65歳に延長?
  厚生労働省は、加入を義務づけている国民年金について、今後60歳を超えても仕事を続ける人の増加が見込まれるとして、現在原則として20歳から60歳までとなっている保険料の支払い期間を、5年間延長して65歳まで引き上げる方向で検討をしているそうです。
  この話題はこちらで6月にも触れましたが、10月に入ってから、各種報道機関がこの話題を取り上げています、ここまで多く言われると現実化が見えてきます。巷では「とんでもないことだ!」というような批判的なコメントがブログやツイッターなどであふれていますが、今一度、読者にも皆さんには冷静になって考えていただきたいことがありますので、2度目になりますが今回はこれを取り上げます。
● 多大なメリットが全然理解されていない。
  人間は、「誰かに強制される」ことを極端に嫌います。
  普段の年金相談で、国民年金が満額となる40年の納付期間がない方に、「60〜65歳まで国民年金の任意加入をしてみませんか?」と声掛けをした場合、前向きに受け止めてアドバイスを採用いただくことが結構あるのです。その理由は簡単です。
1. 支払う保険料と受け取る年金額を比較して受取期間からその損得を計算すると、男性は8割、女性は9割の確率で元を取ってから亡くなります。国民年金保険料の半分が国庫負担とされているおかげで支払いに対し受け取りの損得が抜群によいのです。もちろん早死にした時の保障はありませんが、女性に至っては3分の2ほどの確率で、亡くなるまでに支払った保険料の倍額の年金を受け取られています。
2. しかも受け取る年金は公的年金控除の対象となり、インフレ時には物価スライドがあります。また、公的年金は国が支払いを保証する信用力のあるものであり、年金を受ける権利は差し押さえができないなど種々の優遇や保護があります。
3. 例えば専業主婦の妻が60〜65歳の期間に夫が働いて収入を得ている場合ならば、夫が保険料を負担することにより社会保険料控除の対象となって夫の税金が安くなります。つまりかなりお得に加入できるわけです。
  以上のことをじっくりと時間をかけて説明すると、最初は関心がなかった方が、「そうだね。話を聞いていたら悪くない制度のようだし、加入を検討してみようか」とおっしゃっていただけるのです。
※ これ以降は会員専用ページです