Home > 税と社会保障 > 知ってビックリ!年金のはなし

第193回
正直者が損をしてしまうのはよろしくない
社会保険労務士 桶谷 浩
● 真面目な人ほど損をする?
  厚生年金・共済年金と、国民年金とは重複して加入することはできません。
  もし厚生年金・共済年金と国民年金の重複加入が見つかった場合は、厚生年金・共済年金の期間を有効とし、国民年金(第1号被保険者)の加入期間については「なかったこと」にされ、重複期間の国民年金の保険料を還付するという手続きがされることになります。なぜなら、厚生年金・共済年金の期間は国民年金の第2号被保険者ですので、重複期間の一方を取り消さないとその分ダブルで国民年金が受けられ、もらいすぎということになるからです。
  なぜ、厚生年金・共済年金の期間を優先するのかというと、そのほうがメリットが大きいからです。厚生年金・共済年金の加入期間は、厚生年金・共済年金に国民年金を加えた年金になりますから当然です。
  先日、70歳をだいぶ過ぎた方からご相談がありました。この方は非常にまじめな方で、年金の未納・滞納が全くない方です。
  お話を伺うと以下のような事情でした。
「かつて共済組合に一時的に加入していた期間が見つかり、国民年金を重複して支払っていた期間に該当するので、年金事務所から記録を整理したいといわれている」
  通常ならば問題がありません。
  新たに見つかった共済年金の手続きをすれば、その期間の「共済年金+国民年金」が開始され、今まで受給していた国民年金はストップしますが、国民年金は差し引きゼロで変わりなく、共済年金部分が増額します。そして重複していた国民年金の期間は取り消され、その分の保険料の還付を受けて終了ということになります(図1参照)。
  ご本人にとっては、年金記録を整理することにより、プラスにはなってもマイナスになることはありません。
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