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第199回
長期特例に該当したらどのように働くのが得策か?
社会保険労務士 桶谷 浩
● 長期特例とは…
  長期特例(44年特例)とは、44年(528カ月)以上の厚生年金加入期間がある人(および厚生年金の障害等級3級以上と認定された人=こちらは障害者特例といいます)について、特別支給の老齢厚生年金を受給中の退職時から65歳までの期間、特例として報酬比例部分のみが支給されている場合はそれに併せて定額部分が支給される制度です。この定額部分は月額約6万5,000円(平成27年度予定価格)になります。
  例えば3月生まれの人が高校を卒業して18歳で就職して厚生年金に加入したとすると、62歳で加入期間は44年になります。しかし、大半の高卒入社の方は、62歳の誕生日では44年にあと数カ月足りないというケースが一般的です(大卒入社の方は65歳までの勤続年数が44年に達しないのでこの特例は関係ありません)。
  ところが、実際には長期特例に関するご相談は少なくありません。特に聞かれるのがその後の働き方で、長期特例に該当した場合、フルタイムの正社員のままがいいのか、それともパートやアルバイトに切り替えたほうがいいのか。そのあたりで悩まれるようです。「基本的には相談者ご本人の考え方次第」なのですが、果たして損得の本当のところはどうなのか、改めて今回検証してみます。
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  長期特例のメリットを受けるには次の2つの要件を満たしていなければなりません。
  @厚生年金の加入期間が44年以上あること
  A退職していること=厚生年金から抜けていること
  この場合の退職は、完全にリタイアという場合だけでなく、短時間のパートやアルバイトでもOKです。よく言われる労働時間の4分の3要件ですね。1日8時間労働の会社であれば、6時間を切るように労働時間を設定して厚生年金を抜けて働く場合です。
  では、次ページで事例を見てみましょう。
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