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第202回
4月から開始の「国民年金特例追納制度」
社会保険労務士 桶谷 浩
● 未届け第3号被保険者救済のための特例届出
   厚生労働省は2月から、主婦が納め忘れた年金保険料の追納を受け付ける。夫の退職などで保険料を払う義務が生まれていたのに払っていなかった人が対象。4月から2018年3月まで過去10年分の保険料を納められるようになる。納付分は受け取る年金額に反映するため、無年金や低年金の人が減る。
(「日本経済新聞」平成27年2月1日付)
  マスコミで報道されている通り、今年4月1日から「特例追納」という制度が始まりました。「あれ!? 今までも何か似たような制度がなかったっけ? 頭が混乱してきた」――そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。ちょっと解りにくい話なので今回はこれを取り上げてみましょう。
  まずはすでにある特例、「第3号被保険者の特例届出」についてです。
  夫がサラリーマン、妻が専業主婦の世帯をまず想定してみてください。妻は長年専業主婦をしていましたが、ある時「ちょっと働いてみない?」と友人に誘われて、ほんの軽い気持ちでとある会社でフルタイム社員として働きました。しかし、肌に合わなくて数カ月で退職しました。
  この女性の年金履歴は、@第1号被保険者(学生時代)→A第2号被保険者(卒業後に就職して厚生年金加入者)→B第3号被保険者(結婚してサラリーマンの妻)→C第2号被保険者(友人の誘いで就職して厚生年金加入者)→D第3号被保険者(退職して専業主婦に戻る)という流れになるのですが、CからDへの移行時=第2号被保険者から第3号被保険者に戻った時にその届出がなされていませんでした。このようなケースは世間にざらにあったのです。
  届出がなければ当然、第3号被保険者にはなれませんが、本人はわずか数カ月会社勤めをしただけで被保険者の種別が変わってしまい、退職後に改めて第3号被保険者としての届出を自らしなければならないということを知らない人が多かったのです。そうなると、退職後に第3号被保険者にはなれませんので、年金額には結び付きませんでした。
  このような本来第3号被保険者に該当しているのだけれど、届出がなされていなかった人については、法律により救済が図られました(ただし、平成17年4月以降についてはやむを得ない事情があると認められた場合に限られています)。
  特例届出をすることにより、さかのぼって(上記の例の場合、妻が会社を辞めた時から)第3号被保険者となることができるようになったのです。
● 今回の特例納付制度とは
  さて、今年の4月から始まるのは、同じように第3号被保険者が絡むのですが状況が異なります。
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