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第212回
金額だけの問題ではない障害年金の価値
社会保険労務士 桶谷 浩
● 月5万円の年金をどう考えるか
  障害厚生年金は、障害等級1級・2級・3級に該当した場合に受給権を得られることは、読者の皆さまであればご存じかと思います。これに対し、障害基礎年金は障害等級1級・2級に該当しない限り受給権は得られません。
  障害年金の受給額について言えば、障害基礎年金は定額、障害厚生年金は短期の加入期間であっても、所定の障害状態に該当すれば25年間加入したとみなして年金額が計算されます。例えば厚生年金に加入後1年で発病した病気で障害状態に該当したとしても、年金額の計算の際には厚生年金に300ヵ月(25年)加入していたものとされます。
  障害等級1級・2級に該当する方は、前述のように障害基礎年金と障害厚生年金が併給されるため、ある程度の額の年金を受け取ることができます。
  ところが、障害等級3級と判定された場合は、障害基礎年金が併給されないため障害厚生年金だけの受給となります。
  一例をみてみましょう。
  平均標準報酬額が31.25万円、加入期間10年の時の2級の障害厚生年金額は、31.25万円×5.481÷1000×300月(10年→25年にみなし) = 513,844円となります。(話を分かりやすくするため、賃金額=平均標準報酬額と仮定し、給与月額25万円・賞与夏冬合計3ヵ月(75万円)を前提にしています)
  これに障害基礎年金780,100円がプラスされますから、年金額は1,293,944円(月額10.8万円弱)になります。もちろん障害等級1級であればこの1.25倍の額です。
  ここで、もし障害等級が3級と判定されたとすればどうなるでしょう。この場合、障害基礎年金は受給できませんが、障害厚生年金には最低保障額があり、極端に年金額が少なくなることを防いでいます。
  最低保障額は平成27年度の場合585,100円です。月額で5万円弱ですね。今の事例の場合、障害厚生年金の年金額は最低保障額を下回って(513,844円<585,100円)いますから、最低保障額が障害厚生年金の年金額となるわけです。若くして障害年金を受給する場合、25年の加入期間みなしはありますが、給与がそれほど高くないことが多いため、最低保障額かそれを少し上回る程度の水準の年金額ということが多くなります。
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