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第217回
標準報酬月額62万円が分岐点
社会保険労務士 桶谷 浩
● まず標準報酬月額のおさらい
  厚生年金と健康保険は「標準報酬月額×乗率」で保険料が決められるのはご存じのことと思います(他に標準賞与額もありますが、説明は省略します)。
  標準報酬月額とは、毎月の報酬を区切りのよい幅で区切ったもので、たとえば報酬が230,000円〜249,999円の人の標準報酬月額は240,000円となります。それが基準となり保険料が決まります。
参考  : 平成28年4月分(5月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
  しかし、実際の給与に乗率を掛けているのではありませんから、当然人により有利、不利という若干の不都合がおきます。
  高めの給与だと同じ等級に該当する報酬の幅が大きくなります。たとえば、報酬が545,000円〜574,999円の人は560,000円(32等級)が標準報酬月額となり、報酬に約3万円の幅があります。
  このように実際の報酬に約3万円の幅があっても、このランクに入っている限り560,000円を基準に社会保険料が計算されますから、東京都の場合、健康保険料(40歳以上で介護保険料も込み)64,624円、厚生年金保険料99,836円の合計164,460円(いずれも全額)が徴収されることになります。実際の給与を用いて負担割合を試算すると、
  給与が545,000円の場合の負担割合は、30.177%
  〃   560,000円の場合の負担割合は、29.368%(法律上はここを使う)
  〃   574,999円の場合の負担割合は、28.602%
と、1.575%の差が出ることがわかります。
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