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相続放棄を選択する人が多い時代、
生命保険の死亡保険金は、受取人が相続放棄をしても
満額受け取れることのメリットをお知らせしよう!
税理士/マネーコンシェルジュ税理士法人 今村 仁
■  近年、増加傾向にある相続放棄件数
  最高裁判所の司法統計年報(平成22年)によると、相続放棄の申述の受理件数が近年増加傾向にあります。10年前の平成13年は10万9,730件でしたが、ここ3年間は平成20年14万8,526件、平成21年15万6,419件、平成22年16万293件と増加傾向にあり、10年間で約1.5倍に増加しています。
  過去3年の相続税の課税対象となる課税相続人を見てみると、平成20年13万9,695人、平成21年13万4,493人、平成22年14万3,287人(国税庁統計年報平成22年版)ですから、今や相続税を課される人より相続を放棄する件数のほうが多いという状況です。
  相続を放棄する人の理由は様々ですが、「亡くなられた被相続人の財産<負債」の場合に、通常、相続放棄する場合が多いと考えられます。
■  相続放棄は原則3ケ月以内、相続人の順位変更に注意
  相続放棄をする場合は、「相続の開始があったことを知った時から原則3ケ月以内」に家庭裁判所に対して申述をしなければなりません。この3ケ月以内というのは、いざ実行するとなると案外短いもので、この間に保証債務も含めて被相続人の負債をすべて棚卸しなければなりません。
  相続が発生した場合、遺産分割協議は相続人全員で行わなければ効力がありませんが、相続放棄は一身専属権となっていて、相続人単独で行うことができます。また、そのことを他の相続人に通知する必要はないのです。
  相続放棄の効果としては、「初めから相続人でなかった」ことになります。通知義務が無く初めから相続人でなくなるということは、次のような事態が実際に起こり得るのです。
  例えば、父が多額の負債を残して亡くなったとします。相続財産より負債の額が多いことを知っている母と子供は当然ながら相続放棄をします。そうなると、父の兄弟姉妹が相続人となります(祖父母は既に亡くなっているとします)。つまり、亡くなった父の債務が突然、父の兄弟姉妹に降りかかってくることになるのです。この災難から逃れるには、父の兄弟姉妹全員が相続放棄をするしかありません(相続放棄をしない人が1人でもいると、その人がすべての債務を相続することになります)。
  このように相続放棄をした場合には、相続人の順位変更が生じるので要注意です。安易な相続放棄は、時として思わぬトラブルを引き起こす原因にもなりかねません。他の相続人に対して十分な配慮が必要となる場合が考えられます。
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