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適格退職年金の果たした役割をあらためて考える
年金数理人/日本アクチュアリー会 正会員 中林 宏信
● とりあえず「確定給付企業年金」を選択した企業が多い模様
  平成24年3月末で廃止された適格退職年金の移行状況が7月、厚生労働省から公表されました。移行が始まった平成13年度末時点で73,582件あった適格退職年金は、厚生年金基金に123事業主、確定給付企業年金に15,064事業主、確定拠出年金に7,747事業主、中小企業退職金共済に25,499事業所へと移行しましたが、残りは解約などその他となりました。
  このほか、閉鎖型適格退職年金(加入者が存在せず、受給者のみの適格退職年金)で事業主が存在しない等の理由によって企業年金等に移行ができず存続が認められたものが175件(受給者数:794人)あるようです。
  また、移行最終年度である平成23年度において適格退職年金(閉鎖型を含む)の移行先となった制度ごとの割合も同時に公表され、厚生年金基金が0.2%、確定給付企業年金が49.7%、確定拠出年金が9.0%、中小企業退職金共済が20.7%、特定退職金共済が0.1%、自社年金が0.3%、解約が20.0%となっており、解約しなかった割合としては80.0%を占めています。
  加入者数でみた割合では、厚生年金基金が0.1%、確定給付企業年金が60.7%、確定拠出年金が21.5%、中小企業退職金共済が8.3%、特定退職金共済が0.0%、自社年金が0.0%、解約が9.3%となっており、解約しなかった割合は90.7%を占めています。
  確定給付企業年金が約半分を占めているのは、廃止期限ぎりぎりまで移行を保留していた企業の多くが、とりあえずの移行先として選んだものであるため、そのなかには2次的な移行を将来検討する企業も出てくると思われます。
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