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企業年金制度における選択肢の拡大について
年金数理人/日本アクチュアリー会 正会員 中林 宏信
● 健全な厚生年金基金は存続へと風向き変わる!?
  2月1日に「第7回 厚生年金基金制度に関する専門委員会」が開催され、第1回で提示した(「『厚生年金基金制度の見直しについて(試案)』に関する意見(案)」が参考資料として配付されました。
  同専門委員会は、「代行制度」をはじめとする厚生年金基金制度の今後のあり方を検討するため、昨年10月24日に社会保障審議会年金部会の下に設置され、改革試案について、@「代行割れ問題」への対応、A持続可能な企業年金の在り方、B代行制度の在り方の各論点に沿って、関係団体等からのヒアリングを含め、7回にわたり審議を行ってきました。
  特に注目されている「B代行制度の在り方」について意見書では、代行制度を段階的に縮小するとともに、財政状況が健全な基金は他の企業年金制度へ移行させつつ、10年間の移行期間を経て代行制度を廃止する、という方向性は妥当であるという意見でほぼ一致したとしています。
  ただし、「一定の基準を定め、これに届かない基金は解散命令を使ってでも速やかに解散させつつ、こうした基準を満たす『健全な』基金については、代行制度を一律に廃止せずに存続させてもよいのではないか、という意見もあった。」との併記もあります。
  政府、与党には存続を求める意見もあり、一律廃止でない方向で改革案がまとまりそうな面もあるようです。また、一定の基準も現在は代行部分に必要な資金の1.5倍の年金資産保有を条件としているようですが、この基準では該当する基金は全体の1割弱に過ぎず、「根拠を説明してほしい」という要望や「水準が高いのでは」という意見もあるようで、内容はどうなるか現時点ではわかりませんが、これらを受けて、その是非を最終判断したうえで、関連法案が決定し、今国会に提出されることになります。
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