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アベノミクスとリバランス
年金数理人/日本アクチュアリー会 正会員 中林 宏信
● 目標とした利回りを上回っても見直す!?
  自民党に政権が移り、安倍首相が新しい経済政策「アベノミクス」を実施したことにより、株高・円安が進んで、日本経済に明るい兆しが見えてきました。
  厚生年金基金や確定給付企業年金の資産運用利回りも改善し、確定拠出年金の個人別管理資産額も増えていくことでしょう。
  株を積み増していきたいと考えることも当然のごとく出てくるのではと思います。しかし、株価が上がっているときには、株の割合を増やさないほうがよいという考えがあるのも皆さんはご存知だと思います。
  確定拠出年金を例にとれば、運用商品を選んだらそれで終わりではありません。原則60歳まで給付が受けられず、長い場合は何十年も付き合うことになります。市場は常に変動する可能性があるため、それに合わせて商品ごとの投資金額や運用商品の配分を変えたり、運用商品自体を入れ替えたりすることが必要です。
  資産運用ではライフプランに合わせて目標利回りを定め、それを実現するための資産配分を決めていくことが大事です。そのため、最初に自分が目標として想定した利回りを達成できそうもないときや、ライフプランそのものが変わったときなど前提が変わった場合には運用商品も見直す必要があります。
  逆に、最初に自分が目標にした利回りを上回っていた場合でも、見直す必要があります。例えば株式を保有している場合、最初に決めたときより株価が上昇すると、資産全体における株式の構成比率が高まってしまいます。株式の比率が高くなると、それだけ価格変動リスクも高くなり、ライフプランにも合わなくなってしまうため、資産配分を見直す必要性が高まってくるわけです。
  特定の資産が増えると、最初に決めた資産配分とズレが出てくるため、当初と同じ配分になるように運用商品を入れ替えて資産配分を調整します。いわゆる「リバランス」といわれている投資行動です。
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