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個人事業主や役員のための小規模企業共済
日本アクチュアリー会 正会員/年金数理人 中林 宏信
本連載では、中小企業が陥りやすい従業員退職金準備制度における「困った!」を取り上げ、企業年金の専門家であり、年金数理人、アクチュアリーでもある筆者が、解決策も含め解説していきます。
● 同じ共済だけど、中退共や特退共とはかなり違う?
  今回は「小規模企業共済」制度を取り上げます(制度の運営は独立行政法人中小企業基盤整備機構。略称は中小機構)。非常にメリットが大きい制度ですが、前に紹介した中小企業退職金共済(中退共)や特定退職金共済(特退共)と類似する所もあれば、大きな違いもあるので、生保営業マンが中小企業の事業主を訪問するにあたって、よく理解しておかれることをお勧めします。
  まず、大きな違いは、個人事業主や会社役員(常用従業員数に要件あり。詳しくは後述)のための制度であり、従業員のための制度ではありません。この点では国民年金の付加年金、国民年金基金や個人型確定拠出年金、そして、生命保険の加入者が合わせて加入できる制度といえます。うまく組み合わせるとベストプランを個人事業主等に提案できるのではないでしょうか。
  掛金月額は1,000円〜70,000円(500円区切り)となっており、掛金は所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となります。個人事業主等が対象なだけあって、掛金上限は中退共や特退共より大きくなっており、しかも国民年金基金や個人型確定拠出年金の所得控除とは別枠となっているので、併用すると掛金月額で最大13万8,000円も所得控除できます。これに生命保険の生命保険料控除等の非課税枠を加えると、さらに大きい税負担軽減効果も得られます。
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