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多くの方が加入できるお得な個人型確定拠出年金
日本アクチュアリー会 正会員/年金数理人 中林 宏信
本連載では、中小企業が陥りやすい従業員退職金準備制度における「困った!」を取り上げ、企業年金の専門家であり、年金数理人、アクチュアリーでもある筆者が、解決策も含め解説していきます。
● 国民年金基金よりも加入対象者が広い個人型確定拠出年金
  今回は「個人型確定拠出年金」制度を取り上げます。前回取り上げた国民年金基金と同様に個人事業主等が加入でき、税制優遇もあるお得な制度ですが、この「個人型確定拠出年金」は60歳未満の国民年金の第2号被保険者(サラリーマン等)も加入することができます。お勧めできる人がより多いわけですね。ただし、第2号被保険者でも厚生年金基金、確定給付企業年金、企業型確定拠出年金の対象となっている場合は、個人型確定拠出年金には加入できません。
  個人型確定拠出年金は、拠出した掛金を個人ごとに明確に区分し、加入者自らが年金資産の運用指図を行い、その運用結果で給付額が決まる年金です。給付の額は、掛金とその運用収益によって決まり、老齢給付金や障害給付金(年金または一時金)、死亡一時金(受取人は遺族)などの給付が支給されます。
  大まかにいえば国民年金基金は「定額型」、個人型確定拠出年金は「変額型」といえます。個人型確定拠出年金は加入者本人が運用の指図をするためリスクが生じますが、定期預金や保険商品を選択して「定額型」とすることもできます。しかしその場合は低金利となり、手数料も割高になりますので、投資信託商品をうまく活用すれば、その運用成績により、よりお得な場合もあります。
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